<単行本>

◆ひとさし指のノクターン 新井鴎子・高橋幸代著

 障害者の可能性を科学技術で広げることをテーマにしたノンフィクションで、車いすの高校生4人が自動演奏ピアノを使って東京芸大のステージで演奏する過程を追った。教師や技術者ら周囲の人びとの支えを描き、障害は楽器の改良など技術で補えることを伝える。(ヤマハミュージックメディア 1620円)

◆負けてたまるか!国産旅客機を俺達が造ってやる 小西透著

 開発が進む国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)が2015年に初飛行するまでを小説仕立てで追う。試行錯誤が続く三菱航空機の開発現場、審査に挑む国交省など、50年ぶりとなる国産旅客機開発を、長年取材を重ねたテレビディレクターがスリリングに描き出す。(ブックマン社 2376円)

◆江戸おんな絵姿十二景 藤沢周平著

 1981年3月から1年間、月刊「文芸春秋」に連載された掌編小説集。喜多川歌麿や鈴木春信などの浮世絵に発想を得て物語をつむぎ、基になった浮世絵も全点カラーで収録している。気が進まない縁談が決まっている糸問屋の娘・おさとが友達を訪ねた帰り道、げたの鼻緒が切れて、見知らぬ男にすげてもらう間の心模様を描く「おぼろ月」など12編。(文芸春秋 2700円)

◆殺意の隘路(あいろ) 日本推理作家協会編

 日本を代表するミステリー作家15人が、2013~15年の作品から自薦した短編集。赤川次郎の「もういいかい」は、子供の時に隠れんぼうで行方不明になった子供が大人になって現れる。今野敏の「人事」は、異動してきた警察の本部長に対して管理官がとった行動から組織内部の一面を見せる。そのほか伊坂幸太郎、乾ルカ、恩田陸、東野圭吾ら。(光文社 1944円)

◆洋ピン映画史 二階堂卓也著

 日本の映画史に残らない、欧米から輸入されたポルノ映画=洋ピン(洋モノピンク映画)を論じた画期的映画批評。著者は雑誌「キネマ旬報」で長く活躍した映画評論家。ハリウッド映画のパロディーやシェークスピア原作など、自由すぎるエロの世界に笑いながらも感心する。ネットの普及で映画館から消えた、幻の成人映画についての貴重な資料でもある。(彩流社 3240円)

<文庫・新書>

◆ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い10分間の大激論の謎 デヴィッド・エドモンズ/ジョン・エーディナウ著

 1946年、英国ケンブリッジ大で繰り広げられた2人の天才哲学者による、知を巡る闘いの真相を解き明かした、興奮必至のノンフィクション。二木麻里訳。(ちくま学芸文庫 1728円)

◆お寺さん崩壊 水月昭道著

 現役住職が、寺院を取り巻く過酷な現状を解説する。年収200万円程度という住職が兼業で寺を維持したり、過疎化と仏教離れで檀家(だんか)が激減して閉鎖に至った寺の例を紹介しながら、住職のなり手を増やす方策、今後寺が果たす役割を提言する。(新潮新書 821円)

◆忍者の掟(おきて) 川上仁一著

 甲賀忍術の正統継承者が、門外不出の資料を基に「忍び」の真実を語る。どのような修行をし、どんな術を使い、歴史上どんな役割を果たしたのか。テレビドラマや漫画に登場する忍者とは違った、地味で厳しい影のサムライたちの姿が解き明かされる。(角川新書 972円)

◆ルポ 難民化する老人たち 林美保子著

 国民年金を30年間納め続けて給付は月々6万円? 貧困に苦しみ、行き場なくさまよう老人たちの現在を丹念に取材したルポルタージュ。著者は函館出身のフリーライター。さまざまに語られる「まさかの老後」に暗たんとする。(イースト新書 980円)

◆食堂のおばちゃん 山口恵以子著

 夫に先立たれた二三(ふみ)としゅうとめの一子(いちこ)が仲良く営む定食屋「はじめ食堂」の常連客の人間ドラマを描く連作短編集。夫の浮気を疑う妻の誤解や、男やもめの留守宅を心配する友人など5話。イワシのカレー揚げなど、作品中に出てくる料理のレシピ付き。(ハルキ文庫 648円)