【新函館北斗・立体有料】新函館北斗駅に隣接する立体駐車場。木古内に対抗し無料開放を模索し始めた=8日、北斗市市渡

【木古内・屋根なし無料】木古内駅北口で整備が進む町営駐車場。既に一部が「パーク&トレイン」用として利用されている=8日

 北海道新幹線で道内に設けられる新函館北斗(北斗市)、木古内(渡島管内木古内町)の両駅はともに都市部から離れた場所にあり、地元住民の利便性をどう高めるかも課題の一つだ。駅前駐車場を無料開放し、道南のマイカー利用者の取り込みを目指す木古内町と、対抗策を模索する北斗市の「駐車場バトル」を紹介するとともに、新函館北斗駅と似た立地環境にある北陸新幹線上越妙高駅の地元・新潟県上越市の集客戦略をリポートする。(函館報道部 本庄彩芳、和賀豊)

 函館のマイカー利用者を狙え―。木古内町は北海道新幹線木古内駅前で整備中の町営駐車場を無料開放する。道南の中心都市・函館から木古内までの距離は約40キロと、北斗市の新函館北斗駅までのほぼ倍だが、クルマ社会の北海道なら「少々距離が遠くても、自家用車を駅に止めて新幹線を利用したい人が多いはず」(大森伊佐緒町長)とにらんだ集客戦略だ。

 道が1月下旬にまとめた調査結果によると、新幹線開業後、道南に住む人が自宅から新函館北斗駅に向かう場合の交通手段として「自家用車」を挙げた回答は50%に及び、「JR」の41%を上回った。

 マイカー利用のニーズに対する北斗市と木古内町の戦略は対照的だ。

 北斗市は新函館北斗駅の隣接地に約11億3500万円を投じ、屋上を含む3層で約580台を収容する立体駐車場を建設している。同市の梅田一生・建設部長は「雨にもぬれず、冬場は除雪の心配もない」と利用者メリットを強調するが、維持・管理コストを賄うため、1泊500円程度の利用料を徴収(日帰りは無料)する考えだ。

 一方、木古内町は駅周辺3カ所の土地に約6億5千万円をかけ、計約300台分の駐車場を整備中だが、「最初から無料駐車場以外は考えていなかった」(大森町長)ため、身軽で維持費も比較的安い平面駐車場を採用する。

 大森町長が無料にこだわったのは、人口4700人の木古内は「人口約27万人の函館など道南全域から利用者を集めなければ、ただの通過駅になりかねない」との危機感からだ。

 良き先例が、東北新幹線七戸十和田駅の地元・青森県七戸町の取り組みだ。

 人口1万7千人の同町は駅周辺の更地に約千台分の無料駐車場を整備した。下北地域や隣の十和田市、遠くは青森市からもマイカー利用者が訪れ「週末はほぼ満車。平日も半分は埋まる」(町商工観光課)。1日平均の乗車人員は2011年度の497人から13年度は673人に増加し、当初は通過していた同新幹線最速列車の「はやぶさ」が13年3月から1日6本停車するようになった。

 函館のマイカー利用者の目線でみると、東京方面へ数日間の出張や旅行をする場合、木古内駅を利用した方が駐車場料金がかからず、新幹線の運賃・特急券も新函館北斗から乗るより安い。二重の意味で安上がりで、駅まで約30分余分にかかる距離の差を補う十分な魅力がある。

 北斗市も駐車場戦略の重要性に気付き、高谷寿峰市長は3月の定例市議会で、完全無料化も視野に利用料金のあり方を再検討する意向を明らかにした。ただ、無料化と引き換えに、年間1800万円とされる維持費をどう負担するかという課題がのしかかる。

 そもそも同市が初期投資額や維持費のかさむ立体駐車場を選択したのは「駅前の商業用地を確保するため」(市幹部)だが、開業まで1年を切っても企業誘致が進まず、地元住民からは「せっかく広い土地が駅前にあるのに」と嘆く声も出ている。