札幌国際観光のホテル建設予定地(点線部分)。JR函館駅に近く函館港や市街地の夜景が一望できる=今年7月(本社ヘリから西村昌晃撮影)

今秋から改装予定の野口観光の「湯元啄木亭」=函館市湯川町

朝食バイキングが人気の「ラビスタ函館ベイ」。既存ホテルもサービス拡充で対抗する=函館市豊川町

北海道新幹線の開業日を発表する島田修JR北海道社長(右)と、赤石良治JR東日本執行役員=16日、JR北海道本社

 道民が長年待ち望んだ北海道新幹線(新青森―新函館北斗間、約149キロ)が来年3月26日に開業する。道内初となる新幹線の乗り入れまで残り半年となり、函館などでは宿泊施設の新設や大規模改修が相次ぎ、鉄道やバスを中心に新幹線客が札幌など道内各地に乗り継ぐための2次交通の整備も本格化してきた。一方、今春、一足先に開業した北陸新幹線の沿線では依然大勢の観光客が押し寄せるなど盛況が続く半面、半年後に迫った北海道新幹線の開業に関係者が神経をとがらせている。(函館報道部編集委員 村田泉、東京報道 合津和之、経済部 高橋俊樹)

 半年後の北海道新幹線開業であらためて「北の玄関口」として注目される函館では、ホテルの新設や改装がたけなわだ。

 人気観光スポットのベイエリア地区では、センチュリーロイヤルホテル(札幌)を運営する札幌国際観光(同)が2017年開業を目指し、200室規模のリゾートホテルを建設する。JR函館駅前の函館市有地でも、住宅業界最大手の大和ハウス工業(大阪市)が200室未満のホテルと物販の複合施設を建設する構想を同市に提案している。

 これら有力企業は、新幹線開業を含め、近年の函館観光を取り巻く経済環境の良さに注目する。

 3月末現在の市内宿泊施設の客室数は9662(市保健所まとめ)。夏場の平均稼働率は80~90%台で推移する。ただ、スキーなど冬のレジャーの受け皿や、さっぽろ雪まつりのような有名な冬イベントがない函館は、夏冬の集客格差が大きく、従来、投資効率の良い市場とは言えなかった。

 ■中国人大挙

 ところが年間484万人を集めた14年度、その流れに変化が生じた。上期(4~9月)は、前年のGLAY野外公演による来客増の反動で前年度比9万人減の316万2千人だったのに対し、下期(10月~今年3月)は同11万人増の167万8千人。下期だけなら過去2番目のにぎわいとなった。これを支えたのが、1月の訪日ビザ緩和などを背景に、2月の春節(旧正月)を中心に大挙して来道した中国人観光客だ。

 今年に入り、3月に天津航空が天津線、7月に中国国際航空が北京線、さらに10月27日からは中国東方航空が杭州線と、函館直行の定期路線を相次ぎ就航。年間を通じた観光客の増加に加え、冬場の稼働率のさらなる改善も期待できる。

 その下地の上で迎えるのが、北海道新幹線の開業だ。過去最高の年間550万人の入り込みを視野に入れている函館は、ホテル業界から見れば「中長期的に一定の集客が期待でき、投資環境が整った市場」(札幌国際観光)というわけだ。

 ■目立つ高級

 アジアからの観光客は富裕層が多く、今後、新幹線で東京から約4時間かけて函館に来る観光客も比較的お金と時間に余裕がある層が中心になるとみられることから、「高級路線」を志向した投資が目立つのも最近の傾向だ。

 その代表例が、洋風建築の並ぶ西部地区にバブル期の1990年に開業、08年のリーマン・ショックの影響で閉鎖した29室のリゾートホテルを買収したWBFリゾート(札幌)。今年7月に「函館グランドホテル別館 ラ・ジョリー元町」として5年ぶりに営業を再開させた。

 競合する既存有力ホテルの改装も相次ぐ。ベイエリアの函館国際ホテルは、東館187室に続き、11月上旬に西館118室の改装に着手する。湯の川温泉街でもトーホウリゾート(同)と野口観光(登別)の道内大手2社が各既存施設を改装。野口観光は10月にも「湯元啄木亭」(300室)の全面改装に着手し、一部客室を準高級路線に転換する。

 「朝食のおいしいホテル」の口コミ情報サイトで全国上位の常連、ベイエリアのラビスタ函館ベイ(350室)は2年前に朝食会場などを改装済み。6~8月はほぼ満室続きの超人気ホテルだが、今月からウエルカムドリンクの提供を始め、「新幹線直通となる仙台方面の利用客を取り込むため、サービスを充実させたい」(同ホテル)と意気込む。