日本一を決めた昨年10月29日の広島戦。八回に中前安打を放って満塁とし、好機を広げる岡選手

 「神は背番号に宿る」(佐々木健一著、新潮社)を読んでいて、ニヤッとしたのである。

 「今では、背番号『18』をピッチャー以外の野手が着けている姿は想像すらできない。改めて考えてみると、これは不思議なことだ。野手が『18』を着けてはいけないというルールなど、どこにも存在しないのだから」(「1回 数霊」より)。

 筆者の佐々木氏は1987年、横浜大洋に在籍したレスカーノを「日本球界で最後に『18』をつけた野手」と紹介している。同書は新刊だが、岡大海の背番号変更に間に合わなかったらしい。

 陽岱鋼のFA移籍に端を発する背番号変更(斎藤佑樹が「18」から「1」に、岡大海が「31」から「18」に)は大きな話題になった。一般的には「斎藤に学生時代、慣れ親しんだ『1』を付けさせ、原点に戻す」という文脈で報じられていると思う。

 が、僕はこの背番号変更は、実は岡大海がメインなんじゃないかとにらんでいる。岡はマンガ「エースをねらえ!」の主人公、岡ひろみに掛けて、同アニメ主題歌を「出囃子(ばやし)」(打席に立つときの登場曲)にしている。陽の「1」を岡が継承するんだったら、ありきたりだ。「1」の外野手は何人も続いている。

 だから「18」の野手にして、「エースをねらえ!」の岡を大いに売り出そうという考えなんだと思う。キャラ立ちさせる。今季は外野手のポジション争いが熾烈(しれつ)だが、岡はフロントからの後押しをもらったといっていい。このチャンスをものにするかどうか。

 岡は不思議な選手で、「チャンスをつくる」「拡大する」という接着剤のようなバッティングをする。若いに似ず状況判断に優れているのだろう。一見すると気のない、腰の入らない打撃フォームだが、あれが合っている。右方向にも大きな当たりを放つ。

 期待の大きい岡にひとつ懸念材料があるとするとケガだ。プロの関係者に言わせると岡は典型的な「ケガの多いタイプ」らしい。筋力が大きく、運動能力にたけている分、身体に負担もかかる。メンテナンスを怠りなく、「18」の大選手として球史に名を残してもらいたい。(えのきど いちろう・コラムニスト)