沖縄キャンプの阪神との練習試合で好投した上原健太投手

 WBC代表・藤浪晋太郎のテスト登板で話題を集めた阪神との練習試合(19日、沖縄・宜野座)で、ハム党の注目は断然、上原健太だった。2015年のドラ1位左腕だ。今季は新外国人・エスコバーとともに、吉川光夫(巨人)の抜けた先発左腕の働きを期待されている。

 三回からの2番手登板だった。先発の高梨裕稔が最高の出来で、これ、ハードル上がってないかなぁと心配になる。

 というのはちょうど1年前の出来事だ。2016年2月20日、国頭で行われた紅白戦。「1、2軍合流して初の紅白戦」に「ドラ1ルーキーの上原」が先発するというのでメディアが殺到した。それが悲惨な結果に終わる。初回、打者11人を相手に1アウトしか取れず8失点だ。頭が真っ白になってるらしく、血の気がうせ、表情がない。「悲惨な結果」と書いたが、正確には結果すら出せなかった。1死一、三塁の場面で、「強制降板」だ。

 たぶんこの阪神戦の登板は、本人以上にまわりが意識したはずだ。1年たって成長した姿をアピールさせてやりたい。で、いきなり先頭の梅野隆太郎にライト前ヒットを喫した。見ているこっちがドキドキする。

 が、今年は落ち着いていたのだ。続く阪神のドラ1ルーキー、大山悠輔を併殺に切って取り、結局、2イニングを1安打無失点でまとめる。

 「(ブルペンで調子が上がらなかったが)こうやってまとめられているのは、次につながる成長かなと思います」

 投球をまとめられた最大のポイントは「変化球で簡単にストライクが取れる」に尽きる。明大同期生対決となった四回・高山俊の打席も、フルカウントから自信を持って変化球で勝負した。あれはチェンジアップだろうか。外に逃げながら沈むボールだ。この球はすごく融通がきいて、左打者の膝元にも、右打者の内角にも沈められる。

 仮想ライバルのエスコバーのほうは、前日、紅白戦に登板して、フォームの課題(変化球のとき、腕がゆるむ)が見つかった。現時点では上原が一歩リードだ。まだ「加藤貴之に続く2枚めの先発左腕」候補という微妙な立ち位置だが、上原が一本立ちすれば投手陣にグッと幅が出る。(えのきど いちろう・コラムニスト)