がんを防ごうキャンペーンは、第3部「食卓から変える」(5日から5回掲載)として、食生活とがんとの関わりなどを取り上げましたが、家庭で献立を考えるときのポイントは何でしょうか―。「がん予防」の料理教室を開いている、国立がん研究センター東病院(千葉県柏(かしわ)市)栄養管理室の千歳(ちとせ)はるか室長と渡辺太一(わたなべたいち)さん=ともに管理栄養士=に、具体的なレシピをもとに解説してもらいました。(3回連載します)

 がんを防ぐ献立を考えるときに大切なのは、メニュー全体でメリハリをつけることです。例えば塩分は1日あたり男性8グラム、女性7グラム未満にすることが望ましいですが、すべての献立を薄味にすると、ぼやけた印象の食事になって、満足感が十分得られません。

 きょう紹介する献立は4品。「暑い夏に―涼やかヘルシーランチ」と名付けました。メーンは「冷やし中華」。工夫の一つ目はタレです。市販品をそのまま使わず、練りごまやショウガを加えました。練りごまはタレにコク、ショウガやニンニクは風味や香りをプラスします。豆板醤(とうばんじゃん)も用い、全体として塩分が約3分の1に減るのに、味わいは深くなります。

 二つ目は塩分が多くなりがちなハムなどの加工品を避け、鶏の胸肉をチャーシュー風にしました。肉は塩麹(こうじ)と、ずっと沸騰したお湯でゆでるのではなく、60~90度のお湯で熱を加える「低温調理」で軟らかくし、パサついた感じをなくしました。

 三つ目は中華麺に白滝を入れ、カロリーをカット。野菜も多いので食物繊維がとれます。

 大学イモは油で揚げていません。10分ほど水につけたサツマイモの表面に油をまぶして、クッキングシートを天板に敷いたオーブン(予熱220度)で20分ほど焼きました。今回味付けに使った人工甘味料は、適量をうまく用いましょう。多量摂取や常用は避けたいものです。黒ごまとしょうゆを風味付けに使います。

 油脂は1日あたり10~20グラムにするのが望ましいのですが、揚げ物の衣は油を吸ってしまいます。例えば油で揚げる前に16キロカロリーだったカキフライ(15グラム)は、調理後44キロカロリーになります。油の吸収率は33%です。

 油の吸収率は天ぷらは10~20%で、フライはそれより多めです。野菜の素揚げは5~8%です。ただ、ナスの素揚げは14%になるので気を付けましょう。

 ひじきサラダには、満足感を左右する食感を高め、食物繊維の多い切り干し大根を加えました。低カロリーの水まんじゅうを添えても、1人前510キロカロリー、塩分2・5グラムでできました。

【作り方】

◇手作り鶏チャーシューのヘルシー冷やし中華

 <ポイント>

 ・中華麺と白滝で、カロリーを3分の1に

 ・鶏胸肉を塩麹と低温調理で軟らかく(低脂肪、カロリー減、減塩)

 ・いろいろな野菜で食物繊維たっぷり

 ・市販のタレに、ごまでコク、ショウガとニンニクで風味を付けて減塩

 <材料・2人分>

 ・中華麺1人前、白滝100グラム、鶏がらスープのもと小さじ1/8、 ごま油小さじ1/2、キュウリ1/3本、もやし1/4袋、トマト中1/4個、ミョウガ1/2本、鶏チャーシュー(鶏胸肉1/4枚、塩麹小さじ1、コショウ少々)、錦糸卵(卵L1/2個、油適量)、減塩タレ(市販の冷やし中華のタレに、練りごま大さじ1、酢小さじ2、ごま油小さじ1/2、豆板醤小さじ1/3、おろしショウガ小さじ1、おろしニンニク小さじ1/2を加える)

 <作り方>

 ■鶏チャーシュー

 ①鶏胸肉を観音開きにし、形を整えながら、肉たたきなどでたたき、薄くのばす。塩麹とコショウをまんべんなくすり込み、10分ほど漬け込む。

 ②余分な塩麹を軽く落とす。ラップを50センチほど切り、両端を残しながら細く巻く。ラップの片側をしばり、肉を押し込むように、もう一方もねじりながら、しっかりとしばる。

 ③水からゆで、沸騰後は3~4分ゆでる。火を止め、ふたをして5~6分蒸らす(低温調理)。

 ④ラップから肉を取り出して、切り分ける。

 ■コクと香りの減塩タレ

  ボウルなどに材料を順次入れ、よく混ぜる。

 ■トッピング

  キュウリとミョウガは千切り。トマトはくし切り。もやしはゆでて冷やす。薄焼き卵を千切りにし、錦糸卵に。

 ①中華麺と白滝はゆで、流水でぬめりを取って水気を切る。

 ②①に鶏がらスープのもと、ごま油を加えてあえる。

 ③皿に麺を盛り、鶏チャーシューと錦糸卵、トッピングをのせる。減塩タレをかけて食べる。

◇揚げない大学イモ

 <ポイント>

 ・オーブンで加熱して、油では揚げない

 ・カロリーゼロの人工甘味料を適切に使って、カロリーを2/3に

 ・冷めてもおいしい、豊富な食物繊維のサツマイモ料理

 <材料・2人分>

 サツマイモ中1/3本、サラダ油小さじ1/2、人工甘味料小さ じ1、水大さじ1、しょうゆ小さじ1/6、黒ごま小さじ2/3

 <作り方>

 ①サツマイモをスティック状に切り、水に10分ほど漬けておく。

 ②オーブンを220度に予熱。①の水気を切って、表面に油をまぶしたら天板にクッキングシートを敷き、サツマイモを重ならないように並べて20分ほど焼く。

 ③鍋に人工甘味料、水、しょうゆを入れて、ひと煮立ちさせる。③を加えて煮絡める。

 ④③に黒ごまを混ぜて器に盛る。

◇切り干しひじきサラダ

 <ポイント>

 ・切り干し大根とひじきで、食物繊維をとり、シャキシャキの食感

 ・ハーフマヨネーズでカロリーカット

 ・粒マスタードの風味を生かした、香り豊かな薄味サラダ

 <材料・2人分>

 切り干し大根8グラム、ひじき小さじ2、ニンジン適量、枝豆6さや、ハーフマヨネーズ大さじ1、粒マスタード小さじ1、しょうゆ小さじ1/3、コショウ少々

 <作り方>

 ①切り干し大根は水で戻し、食べやすい長さに切る。ひじきは水でさっと洗い、水に漬けて戻す。ニンジンは皮をむき、千切りにする。

 ②切り干し大根とひじき、ニンジン、枝豆を一緒にゆで、流水で冷やす。豆はさやから取り出し、切り干し大根とひじき、ニンジンはしっかり水気をしぼる。

 ③ボウルにハーフマヨネーズ、粒マスタード、しょうゆ、コショウを入れて混ぜる。②を加えてあえ、器に盛る。

◇低カロリー水まんじゅう

 <ポイント>

 ・くず湯で作る驚きの食感。通常のカロリーの1/3に

 <材料・2人前>

 かたくり粉小さじ4、人工甘味料小さじ2、熱湯90ミリリットル、こしあん20グラム、すいか小2切れ、オレンジ中1/4個

 <作り方>

 ①かたくり粉に人工甘味料を加え、よく混ぜる。熱湯を加え、手早くかくはんし、透明になるまで一気に混ぜ合わせる。

 ②ラップを広げ、①を直径10センチほどにのばし、こしあんをのせる。あんを包み込むようにラップの口を輪ゴムで止める。

 ③氷水か冷蔵庫で冷やす。

 ④ ラップを取り除き、すいかとオレンジを添える。