Q.27歳男性

仕事中、右手に握っていた金物を無意識に落とすことがあります。食事中に箸を落とすこともあります。落とす回数は年々増えてきているようです。3カ所病院に行き検査しましたが異常ないとのことです。ある病院で、てんかんではないかと言われて薬を服用して1年になりますが効果がありません。

<回答> 佐光(さこう)一也さん 中村記念病院神経内科(札幌市中央区)

 私たちは手元を見ていなくても手指を細かく器用に動かすことができます。これは脳の中で占めている、手指の感覚や運動をつかさどる領域が、体の他の部位に比べて広くできているためです。この脳の部位に変調を来すと手指がうまく動かなくなります。右手指の動きは左脳と関係しています。

 手指の脱力が一時的に起きた場合、脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作の症状かもしれません。50歳以上の方に多い病気ですが、もやもや病など脳血管異常があると若年者でもみられます。一過性脳虚血発作が疑わしければ、早急に脳と脳血管の検査を受ける必要があります。

 てんかんは脳内の異常な電気活動が発作的に起きる病気で脳波検査が必要です。てんかん発作で手指の脱力だけが起きるのはまれですが、意識低下や動きが固まるため物を落としたり、勝手に手指が動いて物を飛ばしてしまうことがあります。薬で治療しますが、発作の種類に応じて適切な抗てんかん薬を服用しないと効果がありません。

 他にも運動失調やパーキンソン病などの脳疾患、頸髄(けいずい)や末梢(まっしょう)神経疾患などが原因で手指の動きが鈍くなると物を落としやすくなります。さらに、関節リウマチなどで手指の関節や筋に問題があると同様のことがいえます。単に注意力不足や不器用なため物を落としやすいこともありますが、神経内科で相談されてはどうでしょうか。