Q.53歳女性。循環器(じゅんかんき)内科で、心臓が普通の人よりも小さい「スモールハート症候群(しょうこうぐん)」と医師に言われました。「病気ではないが動悸(どうき)や胸が苦しいと感じることが普通の人より多いかも」と説明を受けました。原因や日常生活の注意点などを教えてください。

<回答> 甲谷哲郎(こうや・てつろう)さん 市立札幌病院循環器センター長(札幌市中央区)

 心臓に異常がないのに、動悸や胸痛、めまいなど、心臓などの循環器に異常があるような症状を訴える「心臓神経症」。その一部に、胸のエックス線写真で見ると心臓の小さい人がいることが見つかり、スモールハート《小心臓(しょうしんぞう)》症候群という論文が1944年に発表されました。

 運動をした時に、心臓から押し出される血液の量《心拍出量(しんはくしゅつりょう)》が不足するため、動悸などの諸症状が起こると当初は考えられました。でも、その後の研究でも明快には証明されず、心臓の病気として認められないまま現在に至っています。

 体格が異なると心臓の大きさも異なります。胸のエックス線写真では、心臓の大きさを、胸の横幅に対する心臓の横幅の比《心胸郭比(しんきょうかくひ)》で判断します。正常は50%未満で、50%以上は「心拡大(しんかくだい)」と診断されます。しかし、どれくらいからが異常に小さいかについては、40%未満とも言われますが、定説はありません。

 今、循環器科を動悸や息切れなどの症状で受診した場合、胸のエックス線写真に加え、心エコー(超音波検査)で心臓の大きさと機能を正確に調べます。心臓の病気がなく、心臓の機能が正常ならば、サイズが小さいことは全く問題にしないというのが、現在の一般的な意見です。

 ですからご質問の方は、心エコーで心機能に問題がなければ、小さめの心臓はあなたの体形にマッチしたサイズと考えましょう。医師から言われた心臓の症状のことは忘れて、むしろスポーツや趣味に打ち込んでみてはいかがでしょうか。