質問 69歳女性。物忘れが気になり、初めて磁気共鳴画像装置(MRI)で脳の検査を受けました。海馬や前頭葉に異常はなかったのですが「白質病変(はくしつびょうへん)」があると言われました。どんな病気ですか、治りますか、病状は進むのでしょうか。2年前から視力が落ち、めまいがします。6年前から高血圧の薬を飲んでいます。

 回答 中高年になると脳卒中や認知症などの脳の病気が心配になり、専門の医療機関でMRI検査を受ける機会が増えると思います。その際に、高齢者ではしばしば脳に「白質病変」があると言われます。

 白質病変とは、脳の循環障害による虚血性変化です。やさしく言い換えると、年齢を重ねるに伴って、動脈硬化が進行して脳の血流が悪くなり、脳の一部が変性して生じた変化です。

 主に大脳の脳室周囲と皮質下というところに存在します。個人差はありますが、高齢になればどなたにも現れる変化ですので、海馬や前頭葉に異常がなければ、特別ご心配する必要はありません。

 私は患者さんに「顔で言えばしわやシミと同じで、個人差はあるけれども心配ないですよ。顔は老けているのに脳は若い方と同じというわけにはいかないでしょう」と説明しています。

 脳の白質病変に対する治療法はありません。広い範囲に生じると、認知症になるので予防は大切です。予防法としては、高血圧の積極的な治療と高脂血症、糖尿病などのメタボリック症候群のコントロールが有効とされています。

 高血圧は治療中とのことですので、引き続き適切なコントロールをお願いします。視力低下やめまいは、高齢者にしばしば見られる症状です。白質病変と直接の因果関係はありません。症状が悪化するようであれば眼科や耳鼻科の受診をお勧めします。

(中村記念病院脳神経外科院長・中村博彦さん=札幌市中央区)