質問 75歳女性。半年前から左足の爪が黒く変色してきました。特に何も処置はしないでいましたが、今度は左手の中指の爪が少しずつ黒くなってきました。足には冷えを感じます。何か病気が考えられるのでしょうか。

 回答 手、足の爪の色素沈着(縦の黒い線状)は高齢者では10~20%の人に正常な反応として見られます。また、しばしば靴の履き方、歩行の際のつえの持ち方などによる外傷、圧迫が繰り返されることでも、足や手の爪に同様の症状が生じます。さらに、毛染めや水虫の外用剤などによっても黒色の色素沈着が爪に生じます。

 このような体の働きによる生理的な反応のほか、多くの皮膚疾患に黒色の爪の変化が認められます。この際、最も多いのは皮膚腫瘍によるもので、爪の根元の色素細胞の腫瘍であるほくろ(色素性母斑)や、がん(悪性黒色腫、メラノーマ)と、その前段階である悪性黒子(こくし)によるもの、そして色素細胞以外の細胞増殖による基底細胞がんなどがあります。

 次いで多いのは爪の細菌、真菌(水虫)の感染によるものや、乾癬(かんせん)などの皮膚疾患に伴って起こります。

 また、爪は、皮膚以外の全身的な疾患があるとき、例えば肝障害では青黒い色や褐色、灰青色に、糖尿病では四肢末梢(ししまっしょう)循環障害のために黒褐色に、慢性腎不全では爪の先が黒褐色に変化します。さらに抗がん剤の投与後、紫褐色や黒色の色素沈着が爪に起こり、薬剤をやめても色素沈着が長く続くことがあります。

 このように爪が黒く変わるのは生理的反応として、また多くの皮膚、全身疾患に伴って生じます。まず皮膚科専門医を受診し、ダーモスコープという特殊なレンズを用い、正確な色と正しい診断をしていただくことが重要です。全身性疾患の一症状として生じている場合、その領域の専門医を紹介していただき、的確な治療を受ける必要があります。

 相談者の場合、糖尿病などの内科的疾患も考えられます。

(大通じんぼ皮膚科・神保孝一さん=札幌市中央区)