札幌・ススキノのビルの6階。のれんをくぐると、カウンターでは常連さんとおぼしき客が静かに杯を傾けている。隠れ家的な雰囲気が漂う。「居酒屋 魚菜亭」は、道内外の銘酒を約25種類そろえ、自慢の料理は旬のものから定番まで約60種類もある。いやがおうにも期待が高まる。

 包丁を休みなく動かしながらも、にこやかにこちらを気遣うのは、大将の今野三家雄(みかお)さん(55)。どれにしようか迷っていると「これが人気ですよ」と「じゃが芋ステーキ」を出してくれた。熱々のプレート、そしてジュージューといい音。思わずゴクリ。「手間はかかるんだけど、注文が多いからやめられないんだよね」と笑う。

 道産の男爵とメークインをゆでて裏ごしし、ベーコンを巻いてから、さらに蒸す。注文を受けてから切り分け、焼き上げる。舌触りは滑らかで、イモの味もしっかりしている。バターのうま味、焦げ目もいい。改めて北海道の恵みに感謝。

 定番の「おでん」は関西風。牛すじで取っただしが決め手だ。フキ、ダイコン、タケノコ…。丁寧に下処理された種にだしがしっかり染みている。「煮込ホルモン」は、道産豚を使用。とろけるほどに軟らかい。ゴボウやこんにゃく、豆腐が入り、ベースはみそ味。どちらも、これからの季節にぴったりだ。

 20年前からこの店の厨房(ちゅうぼう)に立つ大将の確かな腕。そして、てきぱきと仕事をこなしつつ、一人客にさりげなく話しかける女将(おかみ)・路子さん(52)の気配り。秋の夜長、大切な友人と酒を酌み交わすにはもってこいの店だ。

<メモ>
 「居酒屋 魚菜亭」は札幌市中央区南5西4、バッカスビル6階。(電)011・531・3003。営業時間は午後5時30分~11時30分。日曜・祝日定休。27席(禁煙席なし)。駐車場なし。