「青森に目を向ける契機になる」。新幹線延伸について語る須藤さん

 青森を訪ね交流深化を

 東北新幹線の新青森駅が12月4日に開業する。東京と青森は陸路約3時間20分で結ばれるようになり、道南とも一層近づく。5年後の北海道新幹線新函館(仮称)開業を視野に入れ、新青森への延伸をどうみるべきか。道南や道内全体にもたらす効果、これから地域に求められる取り組みなどを道南の文化、教育、経済、自治体関係者らに聞いた。

(小森美香、山村晋が担当し、5回連載します)

 --12月4日に新青森駅が開業します。

 「青森に目を転じる契機になります。北海道開拓が始まった明治以来の付き合いの札幌と比べ、青森とは縄文時代からの古い仲。札幌に行くより青森に足を向けて、近現代まで続く風俗や文化の交流史を再確認すべき時代がやって来ます」

 --青森から学ぶことは多いと?

 「主に観光と産業でしょうか。例えば青森特産のリンゴ。果物なのにお菓子や雑貨、アクセサリーなど多種多様な関連グッズに化けています。一方、道南では工夫が足りず、原材料の供給地となっています。コンブやニシンは関西方面に行って高級食材に化けますが、こちらで加工し、関連商品を生み出してはどうでしょう。付加価値を高める加工業を振興し、道内産業の転換を促していくのです」

 --5年後には新函館(仮称)開業です。

 「新幹線は目的地に一刻も早く着くために最短距離を走ります。目的地は今が青森、次が函館で、最後は札幌。つまり青森、函館はいずれ通過駅になります。鉄道が通ると人が来る、という考えはもう古い。明治や大正の時代と異なり、現代は『いいものがあるから人が来る』のです」

 --「いいもの」とは何を指しますか。

 「函館の場合、恵まれた史跡でしょう。身近な例でいえば、志苔館(しのりだて)跡。約500年前のとりでが残り、アイヌ民族が蜂起したコシャマインの戦いの発端となった歴史に触れることができます。教科書でも知られる重要史跡なのに、利用しない手はないでしょう」

 --行政が整備すべきなのでしょうか。

 「これは新幹線と利害関係にある地元財界人が動かないとだめでしょう。参考になるのは愛知県の明治村。名古屋鉄道が歴史的な建造物を集め、移動の足とともに整備し、沿線に成田山別院までつくって人の流れをつくり出しました」

 --こうした考えを形にする人材が必要ですが…。

 「大正までの函館にはたくさんいましたよ。例えば、一介の海産商だった阿部覚治は『大函館論』を著し、青函圏一体化の重要性を説いて、海底トンネルをいち早く提唱しました。まちの魅力をつくり、発信するのは人。今のうちから商売人や市民が真剣に勉強し、自らいい人材になるよう努めていかないといけません」

 --勉強ですか。

 「まずは青森に行ってみることです。共通点は何か。見習うべき点は何か。昔を振り返り、隣を知ることが求められています。札幌延伸までにもっと青函の交流は深まり、融合していくのですから」

 <略歴>すどう・りゅうせん 1929年、上磯町(現北斗市)生まれ。12歳で函館・称名寺の徒弟となり、67年から第24代住職を務める。大正大卒業後の52年から郷土史研究を始め、著書は「青函文化史」「函館・道南大事典」など多数。