工事が急ピッチで進み駅舎の外観も現れた新函館(仮称)駅。正式にどんな駅名になるかは不透明だ=10日、北斗市市渡

 2016年3月に予定される北海道新幹線新青森―新函館(仮称)間の開業まであと2年。北海道に初めて新幹線が乗り入れる道南地方では線路や駅の工事が着々と進み、年内に試験走行が始まる見通しだが、運行業務を担うJR北海道の安全管理体制の構築とともに、現地でも解決しなくてはならない課題は多い。開業に向けて現地が抱える四つの課題をまとめた。(函館報道部 津野慶)

 北海道新幹線の当面の終着駅となるのが、現在のJR函館線渡島大野駅(北斗市)の位置に設けられる「新函館」(仮称)。正式な駅名は、地元要望を参考にJR北海道が今夏にも決めるが、肝心の地元の意見が今もまとまっていない。

 新幹線誘致運動に長年取り組んできた函館市は「新函館」、駅前開発に市費を投入してきた地元の北斗市は市の名前を入れた「北斗函館」を主張。昨年12月にようやく両市の協議が始まったものの、早くも「妥協点が見つかればいいが、それは難しい」(松尾正寿・函館市議会議長)との声が出る始末。その後、高谷寿峰北斗市長が入院したため、2度目の協議は開かれておらず、地元要望の一本化は困難な情勢だ。

 「新函館」の仮称は、北海道新幹線新青森―札幌間の駅と経路が公表された1998年以降、広く使われてきた。2006年に渡島管内大野町と上磯町の合併で誕生した北斗市も当時の「まちづくり計画」に「新函館(仮称)」と記し、そのまま正式名称になるのが既定路線と思われた。

 だが、同市初代市長の海老沢順三前市長は就任会見で「駅名を『北斗』としたい」と発言。10年9月に市議会特別委が「北斗函館」の地元案をとりまとめ、12年6月には市議会がこれを正式名称とするよう求める決議を可決した。

 この動きに対抗して函館市議会も13年3月、正式名称を「新函館」とするよう求めて決議。工藤寿樹市長が同調し、両市とも引くに引けなくなった。

 「開業が近づいているのに、PRグッズにどんな駅名を書き込んだら良いのか」。困惑する道内の観光業界の声を背景に札幌、函館の経済界から「函館北斗」「新函館北斗」などの私案も出たが、両市が納得する妥協案にはならなかった。

 結局、地元要望は「新函館」「北斗函館」の両論併記となり、JR北海道の判断に委ねられるのでは、との観測が強まっている。