鉄道のイメージキャラクター「モーリー」が正面に描かれた最新車両「青い森703系」の前で=青森市の青森駅構内(村田泉撮影)

 気軽に往来 魅力発見

 北海道新幹線が開業し、道南と青森県が1時間で結ばれる新時代到来まであと1年を切った。これまで近いようで遠かった青函の絆をいかに深めていくか。双方にゆかりの深い「青函人」たちに新幹線開業後に描く夢を語ってもらった。(5回連載します)

 東北新幹線の八戸(2002年)、新青森(10年)開業に合わせ、JR東日本が経営分離した東北線目時―青森間を継承し、地域の足の役割を守る青森県の第三セクター鉄道「青い森鉄道」。新幹線とも関係の深い職場で活躍する三津谷さんは函館市出身。北海道新幹線開業後の青函交流への思い入れは人一倍強い。

 私は函館生まれの函館育ちで、母の実家は北海道新幹線の新函館北斗駅に近い旧大野町(北斗市)にあります。そんな親しみのある地域と青森が新幹線でつながるのは感慨深い。

 青函双方に住んでみると、それぞれに魅力があることが分かります。

 青森の人は、函館を「観光地など見る所が多く、街並みがきれい」とちょっとうらやましく思っている。女性目線で見ても、古民家を改装した店やおしゃれなカフェが多いのが青森にはない魅力ですね。

 逆に青森も、国内外に知られた「青森ねぶた祭」のような伝統ある夏祭りをはじめ、函館にはない魅力を数多く持っています。

 一方で自分のまちの魅力に気付いていない人もいますよね。青森でも、観光客に人気のある「地吹雪体験」を見て「なぜ、わざわざつらい思いをするの?」という人がいます。

 新幹線開業で青函がもっと身近になり「来週、函館のバル街のイベントに行こう」といった感じで気軽に行き来できればいい。お互いの地域を知ることで、自分たちのまちの魅力を再認識することにもつながると思うんです。

 最近の「女子旅行」のキーワードは「食」「プチぜいたく」、そして「今ここにしかない(できない)こと」。青函を1時間で結ぶ新幹線はそんな価値観にも合いそうですね。

 三津谷さんは旅行会社の添乗員の経験を生かし、青い森鉄道には乗り換え案内を行うアテンダント(女性乗務員)として入社した。現在は後輩アテンダントの指導役を務める。同社と同じようにJR江差線を継承する三セク「道南いさりび鉄道」の参考になる取り組みも多い。

 ご縁があって青森に住んで5年。アテンダントとして通院や買い物にご利用いただくお客さまと接し、青い森鉄道が沿線の皆さまの貴重な足であることを実感しました。

 お客さまに安全・安心に乗っていただくお手伝いをするのが第一ですが、青い森鉄道に親しみを持ってもらおうと、世間話などでコミュニケーションを取る努力をしてきました。観光客の方にもタイミングを見て話し掛けたり、観光案内をしたりしてファンになってもらう努力をしています。アテンダントになりたてのころは、他の鉄道の取り組みを参考に方言を使ったご案内の方法を研究したこともありました。

 路線の特徴も異なるので一概にこうすべきだとは言えませんが、良いと思う取り組みを参考にしてもらい、地域のみなさんに喜んでいただければ。鉄道会社間の「青函交流」も深まるといいですね。(聞き手・村田泉)

 <略歴>みつや・あゆみ 1970年函館市生まれ。函館中部高、大正大文学部社会福祉学科卒。福祉機器会社、旅行会社添乗員などを経て、結婚を機に2010年に青森に移住。11年4月に青い森鉄道入社。アテンダントとして駅での案内業務や車内業務を務め、13年から現職。

 新幹線と道南に関わる人たちの物語を「ひと・道南・新幹線」シリーズとして、随時掲載していきます。