大型連休中、国内外の観光客らでにぎわう五稜郭公園。今年は欧米の個人旅行客の姿も多く見られた=3日、函館市五稜郭町(国政崇撮影)

 大型連休中の3日、満開のサクラの花で彩られた函館市内の五稜郭公園。「心が安らぐ。一度にこんなにたくさんの花を見るのは初めて」。パートナーと日本国内を旅行中のフランス人、ノエミ・フランソワーズさん(29)は声を上げた。東京から新幹線で仙台、青森を巡り、函館に来た。

 同公園には例年、函館空港への直行便がある台湾や中国から大勢の花見客が訪れるが、北海道新幹線が開業した今年は直行便がない欧米の個人旅行者も目立った。ベルギーから来たマリア・ガレブスカさん(38)は「日本は北海道から九州まで新幹線が通って、自由に回りやすい」と話した。

 日本政府観光局は「北海道新幹線で道内に行きたいという欧米の観光客からの問い合わせが増えている。観光客の新たな流れが生まれている」という。

 大型連休中(4月29日~5月8日)、函館周辺の観光地は国内外の観光客でにぎわった。五稜郭タワーの来場者は前年同期比34%増の約6万8千人。連休初日は入場券売り場前に400人以上が列をつくった。

 市街地から函館山に向かうバスの乗客数は倍近く、函館市電の乗車券の売り上げも車内販売分だけで2割増えた。渡島管内木古内町の道の駅「みそぎの郷(さと)きこない」にも約6万1500人が訪れた。

 だが、新幹線の開業効果が十分に表れていない観光地もある。新函館北斗駅近くの観光名所・大沼国定公園(渡島管内七飯町)では遊覧船の乗客数が前年同期よりも2割減った。七飯町が観光地として整備してきた、同駅近くの「城岱(しろたい)牧場展望台」もマイカーの来場者が多く、新幹線の利用者はあまりいなかったという。

 大沼で遊覧船を運航する大沼合同遊船の小泉真社長は「新幹線を利用する道外客は初めて函館を訪れる人が多く、知名度が高い函館市内の観光地に集中してしまう」と分析する。

 函館市内の主なホテルが出足の早い本州客の予約で満室となり、マイカーで広く観光地を回ろうという道内客が旅行を諦めたことも一因とみる。函館周辺ではホテルの建設・拡張計画が相次ぐが、大型連休ばかりか、夏の観光シーズンにも間に合わない施設が少なくない。多客期の需要に追いつかなくなることは早くから指摘されてきた。

 道南のタクシー大手、道南ハイヤー(函館)は期間中、貸し切り観光タクシーを1日30~40件配車した。うち約1割は新幹線や飛行機で本州に日帰りする道外客だった。佐々木龍也常務は「皆さん、『函館の宿がとれなかった』と話していた。こんなことは初めて」と語る。

 新幹線が運んでくる国内外の「新しい流れ」をどう受け入れ、観光振興につなげるか。

 函館市などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構の永沢大樹(ひろき)事務局長は「観光客の要望や苦情を取りまとめ、観光地としての魅力を高めていくことが必要だ」と強調した上で「道南の自治体、青函交流を続ける青森と連携して広域観光ルートづくりや情報発信をさらに進め、宿泊客の相互受け入れ、リピーター客増につなげていきたい」と話している。(函館報道部 文基祐)

 北海道新幹線が開業して14日で50日を迎えた。初の大型連休中の乗客(4月28日~5月8日)は前年同期の在来線に比べて1・9倍、乗車率も44%と好調で、今後への期待が膨らむ。開業効果を一時的なものに終わらせず、どう持続、拡大させていくか。これまでに見えてきた課題を探った。(5回連載します)