来年3月の開業に向けて訓練運転を行う北海道新幹線H5系車両=8月、新函館北斗駅

  北海道新幹線(新青森―新函館北斗)の開業日が来年3月26日に決まったね。あと半年余りだ。

  東京―新函館北斗間(約863キロ)を、乗(の)り換(か)えなしで1本の列車で行き来できるようになる。札幌までの延伸(えんしん)は2030年度とまだ先だが、「新幹線が北海道にやってくる」という道民の悲願が実現する。

  JR北海道はまだ詳細(しょうさい)を明らかにしていないが、東京―新函館北斗の最速列車の所要時間は4時間前後とされているね。

  そう。東京から朝早い便に乗れば、午前中に新函館北斗に着くことができる。でも、その「4時間」というのがかなり意味のある数字だ。旅行者が新幹線と航空機のどちらを選択(せんたく)するかの境目の時間とされるんだ。東京から4時間弱の広島を境に双方(そうほう)のシェアが逆転したことから、広く語られるようになった。空港への移動などの煩(わずら)わしさを考えると、鉄路の旅の方がベターでは、と思わせる数字なんだ。道南の自治体をはじめ、北海道選出の国会議員らも「1便でもいいから4時間切りを!」とJRや政府に要請(ようせい)している。

  実現可能なの。

  現在、JR東日本が東京―新青森間(約714キロ)で運行している最速列車は2時間59分。主要駅である上野にも止めず、停車駅を大宮、仙台、盛岡の3駅に絞(しぼ)ったり、宇都宮―盛岡間の最高速度を時速320キロに上げるなどして実現した数字だ。東京―新青森間は、北海道新幹線の開業時もこの数字が最速となる。

  じゃあ、問題は新青森―新函館北斗間の所要時間だ。

  そう。新青森まではJR東日本の管轄(かんかつ)。新青森以北はJR北海道の管轄なので、上下便とも新青森駅で運転士や車掌(しゃしょう)が必ず交代となる。交代に要する時間なども考慮(こうりょ)して、新青森駅の停車時間は2分とされる。これで3時間1分。新函館北斗までの道のりを58分で走行すれば、3時間59分となり、4時間切りが実現するよ。

  難しいの。

  その辺が微妙(びみょう)なところ。新青森―新函館北斗間の距離(きょり)は約149キロ。全区間を時速260キロで走れば簡単だが、そうはならない。青函トンネルを含(ふく)む約82キロが在来線との共用区間で、貨物列車とすれ違(ちが)う際の風圧の影響(えいきょう)を避(さ)けるため当面、時速140キロに減速することにしているからだ。途中(とちゅう)の奥津軽いまべつ、木古内の両駅に止まらず、残る約67キロの区間を最速260キロで走ったとしても、新青森―新函館北斗間は1時間8分前後になると想定される。今のところ、開業時の東京―新函館北斗間の最速列車は4時間9分前後になりそうなんだ。

  妙案(みょうあん)はないのかな。

  減速区間の速度を引き上げる手があるが、安全性の観点から当面140キロのまま運転が続けられる見通しだ。仮に速度を上げようとすれば、貨物列車の運行時間帯などをめぐってJR貨物との調整も必要になる。新幹線の所要時間には遅延(ちえん)発生などを見込(みこ)み、「余裕(よゆう)時分」と呼ばれるものも組み込まれているけれど、ぎりぎりまで切り詰(つ)めることも検討されている。さらにもう一つ、「時速260キロ」の枠(わく)を取り払(はら)う方法もある。

  どういうこと。

  東北新幹線の盛岡以北や北海道新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づく「整備新幹線」の位置づけ。1973年の整備計画に記された「営業最高速度260キロ」が今も適用されているんだ。鉄道関係者は「盛岡以北の最高速度を引き上げることに技術的な問題はない」とするが、案外、このことは知られていない。4時間切りの実現には道や関係自治体が政府に対し、今以上にこの文言の削除(さくじょ)などを働きかける必要があるかもしれないね。(経済部 佐藤木郎)