<質問> 道内では以前から医師の不足が問題になり、認知症の人も増え続けると予測されています。将来、満足な医療や介護を受けられるのか不安です。道内の認知症医療・介護の課題を教えてください。

 <回答> 認知症の診療はこれまで神経内科、精神科、脳神経外科などが対応してきました。最近では総合診療科、老年内科などの医師も加わっています。

 北海道医師会と札幌市医師会は2006年から「認知症対応力向上研修」を実施し、研修を修了した医師も地域で認知症を診療しています。この研修をさらに普及させ、道内全域で認知症を診る体制が整うよう努力しています。

 認知症の初期の診療はかかりつけ医(内科医など)が担い、病状の進行に合わせて専門的な医師が対応する方式が国から提案され、その方向で医療体制は整備されつつあります。

 認知症対策の課題の一つに、全市町村に「認知症初期集中支援チーム」を置くというものがあります。保健師や医師らがチームを作り、介護サービスに適切につながっていない認知症高齢者を訪問し、支援する仕組みです。道内では苫小牧市や砂川市などでまず作られ、3月末までに12市町村に設置される予定です。

 こうした活動は、認知症で生活するのに困難を抱えていても、それを自覚できない認知症の人にとって重要です。しかし、チームを「全市町村に置く」という目標を達成するには難しさもあります。チームには特別な研修を受けた「認知症サポート医」の存在が必要ですが、認知症サポート医がいない市町村も少なくありません。全道的な支援体制が求められ、道医師会のリーダーシップが期待されます。

 わが国で増える一方の認知症について、英国では増加の抑制に成功しています。認知症の人が増えることを宿命のように考えるのはやめましょう。要の対策は運動不足の解消、減塩食、生活習慣病の克服などです。「急速に高齢化する中で認知症を減らした国・日本」の実現を目指し、一緒に考えて行動していきましょう。

 14年4月から2年間、認知症をテーマに執筆させていただきました。お読みくださり、ありがとうございました。心からお礼を申し上げます。(勤医協中央病院名誉院長 伊古田俊夫)

 「みんなで学ぼう認知症」は今回で終わります。