後期高齢者の認知症は、患者の脳を顕微鏡で調べる研究で、75歳より若い世代の認知症とは異なる特徴のあることが分かってきました。

 それは、米国の大規模な認知症研究である「ナン・スタディ」(2001年)と英国のケンブリッジ大の研究(09年)が共に「後期高齢者の認知症は、アルツハイマー病の『脳内変化』だけでは説明できない」と指摘したことです。

 アルツハイマー病の患者の脳内には「老人斑」というしみなどの変化が表れます。70歳ごろまでの認知症の多くは、老人斑などアルツハイマー病の脳内変化だけで発病しています。しかし75歳を過ぎると、認知症の人は増えて重症化するにもかかわらず、老人斑のある人は減っていくのです。

 そこで、後期高齢者の認知症の原因としてクローズアップされているのが脳梗塞です。研究によると、75歳以上では、アルツハイマー病の脳内変化だけで認知症が発病する人は57%にとどまっていました。しかし、アルツハイマー病の脳内変化に加えて脳梗塞があると、93%が認知症を発病していました。

 これらのことから、後期高齢者では、アルツハイマー病の脳内変化と脳梗塞の二つが重なったときに認知症を発病しやすいと考えられます。

 最近、生活習慣病や脳梗塞の予防策が後期高齢者の認知症を減少させていることが注目されています。これらの研究から、その理由が分かってきたように思います。(勤医協中央病院名誉院長 伊古田俊夫)

 イラストの質問の正解は《1》と《3》です。

 「もっと知ろう認知症」は今回でおわります。