<質問> 0歳の子に蜂蜜を与えてはいけないということですが、1歳以上なら本当に大丈夫なのでしょうか。

 <回答> 今年、乳児ボツリヌス症という病気で、生後5カ月の赤ちゃんが亡くなる痛ましい事態が発生しました。日本で死亡例はなかったので大変衝撃的でした。乳児ボツリヌス症とは、腸管に入ったボツリヌス菌が増殖し、菌が産生する毒素によって神経のまひが引き起こされる病気です。この毒素は大変強力で、一説にはフグ毒の千倍以上もあるとされます。

 乳児ボツリヌス症は日本では1986年に初めて報告されました。このとき赤ちゃんの便と食べていた蜂蜜から同じボツリヌス菌が検出されました。これを重くみた当時の厚生省は「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないように」という通達を出しました。この情報が今の若いお母さんたちに周知されてないことが、今回の残念な事態につながったようです。

 ボツリヌス菌は芽胞(がほう)という熱への強い抵抗力がある状態で、土壌や河川等の自然界に広く分布します。このため農作物や魚介類、肉などあらゆる食品の原材料にボツリヌス菌芽胞が混入する可能性があります。蜂蜜の場合、日本のある調査で約6%にボツリスヌ菌が検出されたと報告されています。

 0歳児、離乳前の乳児の腸内細菌叢(そう)はまだ不安定な状態であり、そのためボツリヌス菌が増殖しやすいとされています。国内で発生した乳児ボツリヌス症の報告例によれば、約3分の2は生後6カ月以下の乳児です。最長は生後11カ月で、1歳以降の発症はありませんので、1歳以降は蜂蜜を食べても大丈夫としてよいでしょう。(瀬川雅史=のえる小児科院長)