「見た目」が気にならない、という人はまずいない。顔だちやメーク、髪形、服装、体形などなどを、私たちは日々、鏡や写真でチェックしている。「身だしなみに気をつける」というのは、大切なマナーであることはたしかだろう。

 しかし、中には見た目を気にしすぎて、心のバランスを崩してしまう人もいる。小さなニキビが顔にできただけで、「みんながそれを見て笑っている」と思い込み、外に出られなくなる人。「太りすぎと思われないようにダイエットしなきゃ」と決意して極端に食事を減らし、健康を害してもまだやせ続けようとする人。そういう人たちがときどき家族などに連れられて診察室にやって来るが、「気にしなくてだいじょうぶですよ」と説明して納得してもらうのはむずかしい。

 スーパースターのマイケル・ジャクソンさんも自分の見た目にこだわり、整形手術を繰り返していたことが知られている。過剰な薬物投与などで、ついには死に至った、とも言われている。誰もが「マイケルのダンスは世界一!」と思っていたのに、そんなマイケルさんでさえ、自分に自信を持つことができなかったのだろうか。

 見た目を気にしすぎないようにするためには、親や友人など身近な人からの「そのままのあなたで十分」といったほめ言葉も大切だが、まずは自分で自分を好きになることが大切だ。「私はちょっとぽっちゃり体形だけど、これがけっこう魅力だと思う」とちょっと自信過剰になるくらいでちょうどいい。そうすると表情が明るくなるので、まわりの人も「ステキな人だな」と思ってくれるはず。

 この春は、まず自分の見た目を好きになる。そこから始めてはどうだろう。(精神科医)