電気あんかの破裂でやけどを負った女性の左腕。札医大への搬送時、水ぶくれが痛々しい

札医大形成外科の大沼真広医師

 寒い時期は重宝する「電気あんか」。低温やけどを起こしたり発煙・発火する事故を耳にすることはあるが、製品によっては破裂し飛び散った液体でやけどを負うこともあるという。電気あんかの事故を防ぐには「肌から離す」「説明書通りに使う」「古くなったら異常がないか注意する」ことなどが大切と、関係者は呼びかけている。

 60代の女性。昨年10月のある晩、就寝中、足元に置いていた電気あんかに違和感を感じ、ふと目が覚めた。見ると、あんかが膨らんでいた。急いでコンセントを外そうとして振り返ったところ破裂し、中に入っていた熱い液体を浴びた。

 女性は、駆け込んだ救急当番医から救急搬送で札医大病院に入院。腕から背中、お尻や脚まで、体表の14%に水ぶくれができる中等度のやけどを負ったが、幸い命に別条はなかった。

 手術の必要はなく、軟こうを塗る治療を受けて約1カ月後に退院した。2カ月半後にはほぼ上皮が再生、5カ月たった今は皮膚のひきつれもなく、経過観察のため通院しているという。

 この女性の治療を担当した、札医大形成外科の大沼真広医師(27)は「朝になって目が覚めたら足に水ぶくれなどができたという、低温やけどの患者はよくあるが、電気あんかが破裂してやけどを負った患者は初めてです」と話す。

 今回の事故について、製品事故の情報収集や原因究明、事故防止のための情報提供などを行う、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)の製品安全センター(大阪市)に聞いた。同センター製品安全技術課の岡本修専門官は「冬になると、電気あんかが破裂したという事故報告は年に数件ある」と言う。

 同センターなどの説明では、電気あんかの中身の液体は塩水かそれに類似したもので、これを電気で温めて暖をとる仕組みという。ただ、中身の液体を温めた後は電源コードを抜いて使うタイプの製品が多く、こうした製品は「蓄熱式湯たんぽ」とも呼ばれている。

 岡本専門官によると、過去の破裂事故の原因は、あんか内で液体を入れた袋のつなぎ合わせた部分が脆弱(ぜいじゃく)で破裂した例や、液体を温める温度制御装置が何かの理由で働かなくなり袋の中の圧力が高まり破裂した例が多い。中には原因が特定できなかった例もあった。

 電気あんかを使う際に私たちが注意する点として、岡本専門官は「説明書通りに使うこと。この種のタイプは通常、中の液体の温度が均一になるよう平らなところでコンセントにつなぐよう説明されている」と強調。さらに、「もし温まった後にコードを抜くタイプであれば、きちんとコンセントから外して使ってほしい」と呼びかける。

 一般に電気あんかの事故というと、低温のあんかに長時間肌が触れていることで起きる低温やけどや、電源コードの断線が原因で起きる発煙や発火が多い。

 このため、岡本専門官は「大半の電気あんかは、直接肌に触れないようにして使うよう説明書に書いてある。布団が温まったら電源を抜き、あんかを布団から取り出したり、足元から離したりすること。あんかにタオルなどを巻くなどの工夫も必要」とも助言する。

 このほか同センターでは《1》あんかに電源コードをきつく巻き付けることは断線の原因の一つになるので避ける《2》電気あんかは不具合があっても気づきにくい機器なので、古いものは異常がないか注意して使う―などと呼びかけている。(編集委員 岩本進)