「てんかん」とは、てんかん発作をくり返し起こす脳の病気のことです。検査をしても脳に構造的な異常が認められない原因不明の「特発性てんかん」と、脳腫瘍や水頭症、脳炎などの脳になんらかの障害があるため起こる「症候性てんかん」に分けられます。

 てんかん発作には、意識がなくなって倒れ、全身がけいれんするものから、体の一部分(四肢や顔面の一部)だけがピクピクとけいれんするものまで、さまざまな程度があります。てんかんを起こす頻度は、犬で約100頭に1頭くらい、猫では1頭以下の割合で、犬の方が多いと言われています。

 てんかんの発作は、それが起こる数日前から数分前に、よだれを流したり、落ち着きがなくなったり、活動性が増加あるいは減少したりといった前兆が見られます。しかし飼い主さんは、そうした前兆を見逃していることが多いのです。

 全身の発作は、ペットの全身がこわばって震え、意識をなくしたり失禁したりします。発作の持続時間は2~3分程度ですが、てんかんが終わり、ペットが正常になる場合まで時間がかかることがあります。数分で何もなかったかのように元に戻ることもあります。

 突然気を失ってバタンと倒れ、体がのけぞるようにぎゅーっと突っ張ったりするので、初めて発作を見た飼い主さんは動揺してパニックになることがありますが、心を落ち着けて次のように状態を観察することが大切です。

 《1》発作を起こした時に何をしていたか《2》発作の始まりはどういう状態だったか(突然バタンと倒れたか、前脚・後ろ脚から崩れるように倒れたか、など)《3》意識はあったか、なかったか《4》発作の始まりから終わりまで何分かかったか《5》普段の状態まで完全に回復するのに何分かかったか《6》発作を起こす前に、いつもと変わった行動を取っていたか《7》《6》の行動は発作のどれくらい前に起こったか―をメモしておくことです。

 加えて、発作の起きた日時と、これらの7項目の内容をカレンダーに記入しておくことが、診断や治療の重要な助けとなります。発作の状態をスマートフォンで動画撮影しておくこともとてもよいでしょう。

 私の経験では、家の中で飼育していたおとなしい北海道犬が発作を起こすようになり、飼い主さんに犬の状態をよく観察してもらいました。それにより、近所の子供たちが家に遊びに来た後にてんかんを起こすことが分かり、それが結果的に、治療に結びついたことがあります。

 診断の際は一般的に、脳内疾患の検査をします。脳波、脳脊髄液、コンピューター断層撮影装置(CT)、磁気共鳴画像装置(MRI)の検査などを行いますが、一般の動物病院で対応できない場合は大学病院か専門医に依頼することになります。(高橋徹=高橋動物病院名誉院長、北海道獣医師会会長)