藤井知恵子さん

纐纈尚美さん

佐藤美幸さん

 少子高齢化を背景に、高齢者の病院への付き添い、子どもに代わっての住まい訪問など、「家族代行」のサービスを提供する人たちが札幌などで現れ始めた。介護事業所などが介護保険の対象にならない身の回りのサービスをする例もあるが、こうした「家族代行」は今後広まる可能性もありそうだ。新たな分野を切り開き始めた3人の女性の例を紹介する。

■子どもと橋渡し

 「家族代行 伝書鳩」の名称で、昨年6月から病院の付き添いなどを個人で始めたのは、札幌市南区の藤井知恵子さん(43)。介護士、看護師として長年、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、病院で勤務してきた。

 藤井さんは「施設にいるお年寄りは、外出したくても『家族に迷惑がかかる』と助けを呼ばず、我慢している例が多いんです」と語り、こうした悩みを知ったことが家族代行を手がけるきっかけとなった。

 病院の付き添いが最も多く、買い物、友人宅の訪問、区役所への付き添いなども手がける。「伝書鳩」と名付けたのは、高齢の親と遠くにいる子どもの橋渡し役もしたかったため。子どもが道外にいる場合は、依頼を受けて施設や自宅にいる親を訪問し、撮影した写真も付け、その様子をメールで報告する。

 料金は1時間2千円が基本。サービスを希望する人は70~80代が中心で高齢者住宅などにいる場合が多く、女性がやや多い。藤井さんは「話し相手もなく、1人で苦しんでいる高齢者の役に立ちたい」と話す。連絡は藤井さん(電)080・9420・3685へ。

■寄り道も一緒に

 昨年9月から「付添い屋 よりそいねこ」の愛称で個人で付き添いを始めたのは、札幌市中央区の纐纈(こうけつ)尚美さん(53)。高齢者の生活を支援する一般社団法人北日本シルバーライフ協会の代表理事をしていた当時、身元保証を引き受けた女性が一時入院し、その手続きや部屋の片付けなどを手がけ、家族代行の仕事の必要性を実感したという。

 区役所での手続き代行、買い物、金融機関、高齢者住宅の見学の付き添い、話し相手などを対象にしているが、要望が多いのは病院への付き添いだ。今は1回5千円で送り迎え、病院内の案内、受け付けの代行、近くの薬局までの付き添いもする。途中、商店などの寄り道も付き合い、ほぼ半日かかるという。

 利用者は高齢者向け住宅に住む80代の女性が多く、纐纈さんは「デパートに買い物に行く女性の付き添いをしたら、『デパートに来たのは何年かぶり』ととても喜ばれました。家族なら当たり前にしているサービスをしたいと思います」と話している。連絡は纐纈さん(電)090・8908・7201へ。

■弁護士らと連携

 「家族代行サポート」と打ち出して札幌と苫小牧で支援業務に乗り出そうとしているのは、一般社団法人終活アシスト協会(苫小牧)代表理事の佐藤美幸さん(56)だ。佐藤さんが総合的な窓口となり、同協会で弁護士、司法書士、税理士らともタイアップする。

 日常の困りごと相談、見守り、通院の付き添い、老人ホームなどの施設を選ぶ際の同行、緊急の場合の家族、医師らへの連絡など総合的なサポートを行う計画。会員制で正会員なら入会金5万円で月会費5千円。サービスにより、別途料金が必要な場合もある。佐藤さんは「高齢者がさまざまな困りごとを一つの窓口で頼める仕組みを目指します」と話している。連絡は終活アシスト協会(電)0144・55・2355へ。(編集委員 福田淳一)