男女も世代も問わず柔らかなモールの湯に憩う。旅の思い出も深まりそうだ

湯あみ着まとい親子一緒に

 欧州での湯あみは、そもそも温泉療養から発展した形式で男女を分けず入浴するのが普通。それ故に古くはドレス調の湯あみ着、現代は水着を着用する。泳いだり遊んだり―が主目的でなくとも水着で入浴するのは、皆が一緒に過ごすためだ。

 ここ北海道にもそんな欧州の温泉をほうふつとさせる施設が昨年暮れに誕生した。道東を代表する湯どころ・十勝川温泉の真ん中に、道産カラマツ材を多用したしゃれた建物がゆったりと立っている。スパを主体に飲食店、体験工房、マルシェ(市場)がそろう多目的施設だ。

 このスパは男女問わずカップルや家族で楽しめる施設のため、浴場で裸というわけにはいかない。ただ、大人の入館料にはバスタオルと、オリジナルの上質な湯あみ着の貸し出しが男女とも含まれており、水着が無くても大丈夫。女性用は胸元もしっかりした二重構造のキュロットワンピース式で、部屋着のようにリラックスできる。

 洗練された温泉ゾーンは、大きな窓を挟み内湯から露天風呂へと浴槽が棚田のように連なって配置されている。琥珀(こはく)色の湯に身を沈めると、掛け流しのモール温泉が肌をくるむ。設備はゆったりした温泉ジャグジー、十勝らしい深めの高温浴槽、室外プール、そしてモール温泉の霧が降り注ぐ温泉ミストサウナも。ユニークなオプションに温泉成分が配合された「温泉クレイパック」(500円)があり、たっぷり付けてミストサウナに入ると、モール源泉の蒸気が降り注いでパックがいつまでもしっとり。湯上がりのほっぺたはむきたての卵のようだった。

 十勝川ならではのモールの湯そのものを肌に染み込ませる湯空間。何よりのアトラクションは「会話」だと女性支配人の山岡しのぶさん。「こんなに親子でおしゃべりしたのは久しぶり、と言われることも。本当にうれしいです」。家風呂が普通にあっても、かえって家族で入ることが少なくなった昨今。親子孫3世代がのんびり過ごせる新しい温泉を、ぜひ次の家族旅行の参考にしてほしい。(旅行ジャーナリスト)

住所 十勝管内音更町十勝川温泉北14
電話 0155・46・2447
泉質 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
日帰り入浴時間 土―水曜日は午前9時~午後9時。木曜日は午前9時~11時と午後2時~9時。金曜日は午前9時~午後5時30分(受け付けはいずれも終了の1時間前まで)
日帰り入浴料 13歳以上1500円(バスタオル、湯あみ着の無料レンタルあり)、4~12歳600円、3歳以下無料
日帰り入浴定休日 奇数月の第2月曜日
交通 道東自動車道・音更帯広ICから車で約25分