肌にしっとりまとわる極上のモール温泉

全て源泉掛け流し 食も充実

 あぁ、おいしかったぁ…と部屋で「うーん」と体を伸ばし、夕膳の品書きをまた開いて思い起こす。まず一杯いかが―と誘ってきた「旬の助宗(すけそう)たちの白子豆腐」。続いて、ごく平凡なみそわんのふたを開けたら…「おっ」とビックリのかぼちゃのポタージュ仕立てのわんだ。加減絶妙な「広尾産青曽以(あおぞい)の昆布〆(じめ)」、鮮度がモノを言う「鮫鰈(さめがれい)の柚庵(ゆうあん)焼き」など、魚っ食いにも粋なオール十勝のごちそう続き。品書きの最後に記された料理長・松本重博さんの名に「ごちそうさまでした」ともう一度つぶやく。

 前身は昭和52年(1977年)にモール温泉を掘り当て開業した町営の緑風荘だ。途中、湯枯れに見舞われながらも泉源を再開発して復活。平成13年(2001年)にはバリアフリー化が行き届いたプラザ緑風として生まれ変わった。建物はフロア全体に段差が無く、身障者対応型の客室と個室浴室も完備。車椅子のまま使える衣装掛けに手すり付きのトイレなど使い勝手への工夫が細やかで、自治体の施設の中でも秀逸だった。

 そして久しぶりに訪れてみれば、食にも居心地にも、その優しい視線は行き届いていた。北海道でも高い人気を博す民間の温泉宿の支配人を務め、昨年からこの宿を取り仕切る沢崎隆亮(たかあき)支配人は「旅の一泊にこの士幌の町を選んでくださるお客さまのために、私たち全員がやれるだけをやらなくては」と公共の宿として限られた予算の中で、女性スタッフたちの意見を基に着心地のいい作務衣(さむえ)の開発やアメニティーの充実を図り、料理人と十勝ならではの味の模索をし続けた。

 大浴場は、主浴槽に小浴槽、気泡浴槽、サウナ、水風呂、露天風呂がそろう。そして全ての温泉浴槽は源泉を満たして掛け流す。

 宿は、やはり人。それは民営も公営も変わりはしない。(旅行ジャーナリスト)

住所 十勝管内士幌町下居辺西2線134
電話 01564・5・3630
泉質 ナトリウム-塩化物泉
1泊2食料金 2人1室の場合大人1万500円(税込み)から、子供料金もあり
日帰り入浴時間 午前11時~受け付け終了午後10時、11時閉館
日帰り入浴料 大人500円(65歳以上350円)、小学生250円、未就学児無料
日帰り入浴定休日 無休
交通 道東自動車道・帯広音更ICから車で約35分