明治期の政治家で草創期の小樽の発展に寄与した榎本武揚が建立した龍宮(りゅうぐう)神社(稲穂3)に20日、武揚が隕石(いんせき)から作らせた刀剣「流星刀」が奉納された。代々榎本家に伝わってきたもので、武揚のひ孫の榎本隆充さん(82)が同神社に寄贈した。小樽の関係者はゆかりのある地で保管できることを歓迎している。

 「流星刀」は富山県で見つかった隕石「白萩隕鉄(いんてつ)」を武揚が買い取り、刀工に頼んで1898年(明治31年)に長刀(ちょうとう)2本、短刀3本の計5本制作した。今回寄贈されたのは短刀で刃渡り約19センチ。

 隕石に詳しい小樽市総合博物館の大鐘卓哉学芸員によると、白萩隕鉄はほとんどが鉄分でできており、これに鋼を加えて刀剣に鍛えたという。「隕石からつくられた刀は、日本には流星刀以外に個人所有の1本があるだけだと思われる。非常に貴重な資料で、それが小樽に保管されることはすばらしい」と話す。

 武揚は官僚として、科学技術に強い関心を持っていた。ロシアに行った際に鉄隕石でつくられた刀剣を見てあこがれ、研究を進めていたという。5本のうち、長刀は天皇家と東京農大に寄贈。短刀は1本が戦時中に行方不明に。今回寄贈されたもの以外に、富山市科学博物館付属富山市天文台にも1本寄贈されている。

 東京に在住する隆充さんは「龍宮神社は武揚と深いゆかりがある。流星刀の保管場所としてもっともふさわしいと感じて寄贈を決めた」と話す。流星刀の存在や小樽と武揚の関係についても多くの人に知ってもらいたいと考えたという。