20日で開業1年となる札幌市の路面電車(市電)のループ(環状)運行は、18日までの平均乗客数が前年同期を約1割上回る快調ぶりを見せている。西4丁目―すすきの両停留場間約400メートルがつながって1周8・9キロの路線となり、新しく狸小路停留場もできた。関連の催しやまちづくりの動きも出ており、沿線住民や外国人観光客からも好評のようだ。ただ、来年4月の運賃値上げの影響も懸念される。市電はこの1年でどう変わり、今後どうなるのか―。(小林史明、水野富仁)

■利用増効果 沿線に活気

 「狸小路まで市電で行けるようになり、便利になった。買い物での利用が週1回から2回に増えた」。西線16条停留場(中央区南16西14、南17西15)近くに住む無職堂下哲さん(83)はループ運行を喜んでいる。

 約220店が加盟する札幌狸小路商店街振興組合の宮本隆一常務理事(64)は「ループ化開業時には記念セールを開いたほか、今後も企画やイベントで客をつかみたい」と力を込める。

 ループ運行が始まった昨年12月20日から今月18日までの1日の平均乗客数は、前年同期比2240人(10・3%)増の2万3913人。市がループ化の効果として想定した1日平均600人増を大きく上回った。

■違法駐車で運行に遅れ

 課題も見えてきた。

 市電が道路中央寄りではなく歩道寄りを走る「サイドリザベーション方式」を採用した西4丁目―すすきの間では5月の大型連休中、買い物客が線路上に車を駐車し、2便に最大20分の遅れが出た。10月末には、周辺で行われたハロウィーンのイベント参加者の車5台の違法駐車で2便が最大5分遅れた。違法駐車による運行遅れは18日現在、計19件発生。禁止されているタクシーの乗降も後を絶たず、市は駐停車禁止を示す標識の増設を検討している。

 市が市電の赤字体質の改善を目的として、来年4月から現行運賃の一律170円から200円への値上げに踏み切ることも乗客増に水を差す可能性がある。

 市交通局によると、経常収支の赤字は昨年度が1億1700万円で、本年度も2億9千万円を見込んでいる。値上げにより、2023年度までに黒字化したい考え。

■課題を整理 延伸検討へ

 市は今後、ループ化の効果や運賃値上げの影響を検証した上で、JR札幌、桑園、苗穂の3駅方面への市電の延伸を検討する。

 市はこれまで、ループ化の効果について西4丁目―すすきの間の乗客や周辺の歩行者約3千人を対象に《1》市電の利用頻度《2》中心部を訪れる回数・手段《3》中心部での消費額―が開業前後でどのように変化したかを調査した。全線の乗客約4万人に乗降停留場と利用目的を聞いたアンケートと合わせ、結果を来年3月までに取りまとめる。