稲や麦、大豆の種子の生産、普及を都道府県に義務付ける主要農作物種子法の廃止法案は14日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。種子生産に民間企業の参入を促す狙いだが、民進、共産両党などは「種子の安定供給に支障が出る可能性がある」などとして反対した。来年4月1日に施行される。

 種子法は戦後の食糧増産を目的に、1952年に制定された。

 都道府県が優良品種の審査、指定、栽培などを行ってきたが、優良品種は都道府県が自ら開発した品種に偏っており、政府はこの状況を問題視。種子生産の民間参入を妨げ、多様な品種開発を阻害しているとして廃止を提案した。

 採決に先立つ討論で、民進党の徳永エリ氏(道選挙区)は種子法廃止により外資参入が進む可能性を指摘し、「種子価格の高騰を招きかねない」と批判。共産党の紙智子氏(比例代表)も「都道府県にとって育種予算確保の根拠がなくなる」と反対した。

 法案は賛成158票、反対73票で可決、成立した。

 主要農作物種子法は昨年の規制改革推進会議の議論から半年余りで廃止が決まり、道内の農業関係者からは疑問の声が上がった。法が廃止される来年4月以降、どこが種子の生産や普及を担うことになるのか、関係者は注視している。

 「道は長年、責任を持って種子を生産、普及させてきた。この体制を維持するためには、条例などの検討が必要ではないか」。道立総合研究機構上川農業試験場の元場長で、品種開発などに携わってきた紙谷元一さん(63)=空知管内長沼町=はそう指摘した。

 道は、種の生産をホクレンや農協に委託し、農場の審査や奨励品種を決める試験などを行っている。道総研中央農試では、種を低温貯蔵するなど品質の管理に努めている。紙谷さんは「種の生産や普及には時間も費用もかかるため、民間では担いきれない。行政が果たす役割は大きい」と話し、同法が民間参入を妨げてきたとする規制改革推進会議の見解に疑問を呈した。