【函館、北斗】北海道新幹線のJR新函館北斗駅の駅名問題で綱引きを演じた函館、北斗の両市が、観光客の誘致を巡って対照的な動きを見せている。函館市は、本州や道央圏など遠方の自治体と組むプロモーションを重視。対する北斗市は同駅を核としたイベントの開催など、地元のPRに力を入れている。開業2年目に向けても連携不足は顕著で、関係者や経済人らは「なぜ共同歩調が取れないのか」と指摘している。

 「今年は『ポスト新幹線元年』。新幹線、新幹線と言い続けるお祭り騒ぎは昨年で終わりにしたい」。函館市の工藤寿樹市長は年明け後、各種会合で同様の発言を繰り返してきた。

 工藤市長が描くのは、新幹線に絞った一時的なPRや催しに頼らず、交流人口拡大を地道に進める観光政策だ。2016年度予算では開業対策費として約7千万円を計上したが、17年度は主な予算項目を示す文書から「北海道新幹線」の文言が消えた。代わる政策は青函や道央・道南圏の空港や港も生かす「観光のゴールデンルート」の構築。連携先として東北・首都圏の自治体に加え、道内では札幌、登別両市を見据える。

 一方、北斗市の高谷寿峰市長は7日の市議会で「新年度はまさに勝負の年だ」と述べ、開業2年目も新幹線を核にしたまちづくりを進めると宣言した。17年度の新幹線関連費は約5億円。前年度当初比約1億円減だが、引き続き手厚い財源を確保した。市は新函館北斗駅周辺の整備に加え、観光客に市内の周遊を促すスタンプ・レシートラリーなどを計画。市幹部は「(函館市が言う)『ポスト新幹線』は(北斗市側と)認識が少し違う」と言い切る。

 こうした溝が生じる背景には、同駅と函館駅が18キロ離れていることがある。

 函館市側は官民の念願だった函館駅への新幹線乗り入れが実現せず、「新駅開業は複雑な思いだった」(函館のホテル経営者)。駅名問題でも、函館市が「新函館」を主張したのに対し、北斗市が「北斗函館」を要求。最終的に折衷案の「新函館北斗」で決着した。

 昨年は、新幹線の開業日以降、北斗市や道が新函館北斗駅前でイベントを開く一方、函館市などが7、8月に函館駅前で独自のイベントを開催した。新函館北斗駅併設の観光案内所は北斗市観光協会が管理。市内の観光案内を重視し、多くの観光客が求める函館のパンフレットは目立たない。