「化学物質過敏症(MCS)」の患者が増えている。空気中に漂う化学物質に人体が反応し、頭痛や皮膚の湿疹などの症状が出る病気だ。発症すると、さまざまな化学物質に次々に反応するようになる。目に見えにくい微細な物質に反応しているため、本当の病気なのか、と誤解される患者もいる。現在、治療法が確立されておらず、専門家は「公共の場の禁煙はもちろん、揮発性の高い香水や強い香りの柔軟剤は避けてもらうなど、周囲の配慮に頼るしかない」とため息をつく。

 札幌市に住む60代の女性AさんがMCSと診断されたのは8年前。家族が吸うたばこの煙のニコチンなどに反応、舌のしびれ、目の充血、倦怠感(けんたいかん)などが現れた。症状は徐々に悪化。人工の香料など含んだ香水や洗剤にも反応するようになり、3年前から日用品はすべて無添加タイプにした。家には家族以外入れず、外出先も、出入り口が2カ所以上ある風通しのいいスーパーなど極力、化学物質が滞留しない場所に限っている。