日本を訪れる外国人は観光客ばかりではない。さまざまな職場に仕事を求める人も増え続ける。

 2015年10月末現在の外国人労働者数は約90万8千人と過去最高を更新した。16年は100万人を突破した可能性がある。

 少子高齢化が進み、中小企業を中心とした現場の労働力不足が背景にあるが、大企業も人材を求めて積極的な採用を進めている。

 人口減少の中でも持続可能な経済や社会の姿を考えるとき、避けて通れないのが外国人の存在だ。

企業はすでに先取り

 首都圏などのコンビニではアルバイトで働く外国人留学生の店員が目につくようになったが、ローソンはこれと別に08年から本部社員の採用を積極的に進めている。

 中国人、韓国人など採用数は計200人を超えた。店舗を回り相談や指導に当たるスーパーバイザーもいる。コンビニ経営においての重要な役回りだ。

 同社は「外国人観光客に対応した店のプランを練る時など、さまざまな場面で外国人社員の発想が生かされている」と説明する。

 経済のグローバル化に伴い、ホワイトカラーやITなどの専門知識・技術を持つ外国人に対する企業のニーズは高まり、国際的な人材争奪戦にもなっているという。

 政府は成長戦略でこうした「高度外国人材」と呼ばれる層の受け入れを掲げ、永住許可申請の要件緩和などの支援策を盛り込んだ。

 多様な人材を取り込むことが組織を活性化させる。日本人社員の意識が変わり、働き方改革にもつながる可能性がある。企業が開かれていくことは歓迎したい。

いびつな実習生制度

 しかし、外国人労働者には陰の部分もある。例えば外国人技能実習制度だ。

 道内各地の水産加工場ではこの年末も、贈答や正月向け商品の出荷が活況を呈した。

 その中に中国などから来た実習生の働く姿もあった。

 15年に道内で受け入れた実習生約6200人のうち、半数を水産加工業が占める。次いで多いのは農業の1800人だ。

 実習生は北海道の基幹産業を支える戦力となっている。

 だが、本来は途上国への技術移転という国際貢献を目的とする技能実習が、労働力の穴埋めに使われていると批判されて久しい。

 実習生を低賃金で劣悪な環境にさらし、法令違反を指摘される事業所が全国で後を絶たない。

 こうした中、昨年の臨時国会で成立した外国人技能実習適正化法は制度を拡充するとともに、実習生を保護する仕組みを導入した。

 対象職種に介護を加え全職種で最長3年の期間を5年に延長。受け入れ団体や企業の不正を監視する機構を新設し、人権侵害行為への罰則も設けるという内容だ。

 同じ時の法改正で介護は外国人の在留資格としても認められた。

 しかし、深刻な労働力不足の多くを依然「実習生」という身分で担わせるのは、やはり正常な労働現場とは言えないだろう。

 外国人を単に労働力や成長の手段と捉えるのではなく、社会に迎え入れる発想が必要ではないか。永住や国籍取得を前提にした移民政策が検討されてもいい。

分け隔てなく門戸を

 ところが、安倍晋三首相は「移民政策は毛頭考えていない」ときっぱり否定する。政府は難民の受け入れにも消極的だ。

 欧米では移民や難民の受け入れが失業者を増加させたとの排外主義的主張が社会を分断している。

 日本の世論も現時点では慎重意見が少なくないかもしれない。

 だが、外国人に分け隔てなく門戸を開くことは社会全体に活力をもたらす。米国の歴史もそうだった。今後、日本が目を向けるべきは、こうしたプラスの可能性ではないか。

 異なる国籍、民族の人たちが違いを認め、肩を寄せ、刺激し合う社会でありたい。それが「多文化共生」だ。

 その理念の実現のためには、政治や社会に努力が求められる。

 移住した外国人を孤立させてはならず、語学や医療、教育などの生活支援を充実させ、地域に溶け込んでいくことを後押しする取り組みが欠かせない。

 近隣諸国との歴史問題を克服し、在日韓国・朝鮮人などに向けたヘイトスピーチのような差別と偏見を根絶しない限り、多文化共生は絵に描いた餅となる。

 永住外国人の地方参政権や、日本に移住しても生まれた国の国籍を失いたくないという人への二重国籍を認めてもいい。どちらも欧米では導入している国が主流だ。

 日本が経験したことのない少子高齢化による人口減少社会に入ったいま、この国を開いてゆくことが、すなわち「あす」を開いてゆくことになるのではないか。