鳴りを潜めていた北朝鮮がまた危険な挑発行動にでた。

 おととい、北西部から弾道ミサイルを発射し、約500キロ飛行して日本海に落下した。

 日米首脳会談直後の発射は、トランプ政権も北朝鮮への「敵視政策」を変えていないとして米国をけん制する狙いがあるのだろう。

 挑発を何度繰り返そうと、国際社会は核・ミサイル開発の放棄を求める揺るぎない姿勢を示し続けねばならない。国連安全保障理事会の決議に基づく制裁順守を徹底することが、まずは重要だ。

 そして、北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の関係国が緊密に連携する必要がある。トランプ政権はアジア外交を本格始動させ、議長国中国との協議を急いでほしい。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射は昨年10月以来だ。

 トランプ氏は大統領選期間中、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との対話に意欲的と受け取れる発言をした。米朝直接対話で核保有国としての体制保証を取り付けたい北朝鮮には好都合と映っただろう。

 そこでトランプ氏の出方を見極めていたが、日米首脳会談で北朝鮮に核放棄を迫る姿勢に変化はないことが示された。

 米国が北朝鮮に安易な宥和(ゆうわ)政策を取り、北東アジアの平和と安定を脅かす核保有を認めることは、もちろんあってはならない。

 ただ、北朝鮮が非核化に向け態度を変えるまで本格対話に応じないというオバマ政権の「戦略的忍耐」政策には、核開発の時間を与えただけだったとの批判もある。

 北朝鮮は、発射したのは新型の地対地中長距離弾道ミサイルだとしている。発射能力の向上を図っているのは確かだろう。事態の悪化を放置することはできない。

 圧力の強化と並行し、北朝鮮を6カ国協議の枠組みに引き戻すための新たな対話のアプローチを検討する必要がある。

 極めて困難な道ではある。だからこそ関係国の結束が必要だ。

 中国に対しては、厳しい制裁の抜け穴になっているとの疑いがかねて指摘されている。

 北朝鮮に影響力を行使する重い役割を果たしてもらうためには、米国も朝鮮半島問題の当事者として積極的に動く必要がある。

 トランプ氏には、「米国第一」の利益追求よりはるかに重要な大国の役割を自覚してほしい。

 トランプ氏と親密な関係を築いたと自負する安倍晋三首相にも無論、中国への働きかけなど外交努力を尽くす責務がある。