南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊部隊の日報問題で、陸自が「廃棄した」と説明していたデータが今年1月ごろまで実は保管されていたことが分かった。

 稲田朋美防衛相は、防衛相直轄の特別組織である防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示した。

 防衛省・陸自が組織ぐるみで悪質な隠蔽(いんぺい)を図っていた疑いが拭えない。自衛隊への国民の信頼を著しく損ねる事態だ。

 徹底調査を行い、一日も早く結果を公表するよう求める。

 防衛省は昨年12月2日時点で情報公開請求に対し「日報は廃棄済み」としていた。その後、データが統合幕僚監部にあったことが判明し、2月7日に公表した。

 昨年7月に首都ジュバで起きた政府軍と反政府勢力の大規模な銃撃戦を「戦闘」と記し、現地の緊迫を生々しく伝えている。

 PKO参加5原則の柱である紛争当事者間の停戦合意が崩れているとの見方を裏付け、「戦闘ではなく武力衝突」との政府見解を覆しかねない重大な内容だった。

 それを防衛省は当初、使用目的を終えたので廃棄したと説明し、稲田氏に報告していた。

 国会での追及を恐れ、虚偽の説明をしてまで隠したい文書だったのではないか。そんな疑念が膨らむのを禁じ得ない。

 陸自での保管は情報公開請求の時点から分かっていたのか、統幕での保管が判明した後なのか。陸自に対する隠蔽の指示はあったのか。解明すべき点は多い。

 稲田氏はきのうの衆院安全保障委員会で「徹底的に調査し、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と述べ、野党側の辞任要求を否定した。

 だが稲田氏も省内を掌握できていない統率力の欠如が明らかだ。そもそも統幕でデータの存在が確認されたのは12月26日。その後、稲田氏への報告まで約1カ月かかったことが批判されていた。

 巨大な実力組織である自衛隊の運用が適切に行われているかどうかを防衛相が監督するのは、シビリアンコントロール(文民統制)の大前提だからだ。

 日報公表後も国会で「陸自では廃棄済み」と繰り返し答弁した。学校法人森友学園の問題を巡る説明に続き、国会答弁の信頼性を大きく傷つけた。

 ここは自らの出処進退にけじめをつけるのが、トップとしての責任の取り方ではないか。