ドイツで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した。

 トランプ米政権が発足してから初めての開催で、各国が従来通り「反保護主義」で協調できるかが最大の焦点だった。

 だが、採択された共同声明は、過去4回続けて盛り込まれていた「あらゆる形態の保護主義に対抗」の文言が抜け落ち、「経済への貿易の貢献度を高めるよう取り組む」との表現に変更された。

 保護主義的な政策を掲げるトランプ政権の意向に配慮し、決裂を避けたのが実情だろう。

 世界経済を支える国々が対話を積み重ね、守ってきた自由貿易の価値観が、米国という一つの国の政権交代で、簡単に揺らいでしまったことに危機感を禁じ得ない。

 7月の首脳会合に向け、各国には、あらためて国際協調への努力を促したい。

 初参加のムニューシン米財務長官は会議後の記者会見で「米国の長年にわたる貿易不均衡を是正することが必要」と述べた。

 共同声明は、こうした米国の主張を反映。貿易赤字解消のための関税引き上げ、北米自由貿易協定(NAFTA)見直しといった保護主義的な政策とも整合性が取れる表現が用いられた。

 加えて、G20が従来確認してきた「難民支援の強化」「気候変動対策の推進」も今回の声明から消えた。いずれもトランプ政権が後ろ向きな分野ばかりである。

 為替政策こそ従来の声明を踏襲し、米国が日本や中国を念頭に主張していた「通貨安競争の懸念」という強い表現は見送られた。だが全般的に、米国の意向に沿った中身になったのは明白だ。

 いかに影響力のある大国でも、多国間の合意がこれほどあっさり骨抜きにされては、G20の枠組み自体の存在意義が問われよう。

 G20が、トランプ流の「米国第一主義」を容認することになれば、貿易戦争や環境汚染、他国への不寛容が世界にまん延し、国際平和が脅かされかねない。

 米国が世界の超大国としての自覚を持つと同時に、他の19カ国も国際協調のために結束し、責任ある行動を取らねばならない。

 日本の役割は特に重要だ。来月には貿易・経済を幅広く話し合う日米経済対話が始まる。

 米国は自動車や農業の市場開放を要求し、制裁措置も辞さない構えだ。日本は世界貿易機関(WTO)ルールを守り、保護主義と一線を画す姿勢を示す必要がある。