地域独占から、売り手やサービスを自由に選ぶ時代に。こんな旗印の下、昨年4月に電力小売りが全面自由化され、1年がたった。

 道内で今年2月末までに北海道電力から新電力に切り替えた率は5・5%で、全国平均を上回っている。北電が泊原発停止後、2度にわたって行った大幅値上げの影響が大きかった。

 一方、北海道と本州をつなぐ送電ケーブル「北本連系」の容量の小ささなどから、新電力が電気の調達に苦労するという一面も浮き彫りになっている。

 自由化の目的は電力市場の活性化を消費者の利益につなげることにあるはずだ。ならば、国や大手電力は送電網の充実などに努め、市場の整備を急ぐべきである。

 新電力はこれまでに全国で300社以上が登録され、道内ではコープさっぽろの関連会社や、北海道ガスなどが参入している。

 北電より数%程度安い料金の設定や、他のサービスとのセット割引など、動きは盛んだ。太陽光、バイオマスなど再生可能エネルギーの調達に努める企業も目立つ。

 これに対して北電も、使用量の多い世帯を対象とした割引などを打ち出した。

 ところが、本格的な値下げについては、泊原発の再稼働後との立場を変えていない。

 再稼働時期が見通せない中、北電は昨年から期末配当を復活している。体力が回復してきたのなら値下げも検討してはどうか。

 一方、新電力の課題は売る電気の確保だ。

 自前で十分な発電施設を持つ新電力は少なく、外部からの調達が欠かせないが、その鍵となる北本連系は緊急時用の施設で容量が小さい上、平時の使い勝手も悪い。

 需給が逼迫(ひっぱく)しても本州から電気を買い取れず、道内だけの売買となって価格が高騰する「市場分断」も発生している。

 北本連系の容量アップと運用の改善が急がれる。

 電力卸市場の取引活発化も求められよう。経済産業省は、大手電力が一定割合を供給するよう要請し、北電も具体的な目標を示している。確実に実行してほしい。

 解せないのは、政府が東京電力福島第1原発事故の賠償費の一部を、送電線網の利用料に上乗せする方針を決めたことだ。

 負担は新電力にも及ぶ。原発の電気を避けようと新電力に切り替えた利用者は、納得がいかないだろう。自由化の本旨にも背く。再考を求めたい。