東京電力福島第1原発の事故で避難指示を受けなかった自主避難者への対応を巡り、今村雅弘復興相から耳を疑うような発言が飛び出した。

 記者会見で、3月末で住宅の無償提供を打ち切られた自主避難者が帰還するかどうかは「本人の判断」との認識を示した。

 国の責任を重ねて問われると「裁判だ何だでも、そこのところはやればいいじゃない」と答えた。

 住宅の無償提供打ち切りの対象は1万2千世帯にも上り、生活は厳しさを増している。

 なのに今村氏の発言はそうした現実に目をつぶっているとしか思えない。避難者への配慮を欠いた発言は、復興相としての自覚を欠いていないか。

 福島原発事故に関しては、福島県から群馬県などに避難した住民が損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁が、東電とともに、安全規制を怠った国の責任を認める判決を出している。

 国は控訴したとはいえ、判決を一顧だにしない態度は大いに疑問である。

 会見で今村氏が強調したのが、古里に戻った自主避難者もいることだ。

 ただ、県内の除染が進んだことで放射線量が減ってきたとはいえ、事故前と比べればなお水準が高い地域が少なくない。とりわけ、小さな子どものいる世帯には不安が根強く残っている。

 なのに、自主避難を続ける人に対し、自己責任であるかのように突き放すのが政府の本音なのか。

 悩んだ上で避難を続ける人たちは、納得がいかないだろう。

 そもそも、原発事故がなければ避難をする必要はなかった。今村氏は、その根本をきちんと踏まえるべきである。

 会見での受け答え自体にも批判が出ている。

 今村氏は、質問者が「責任を持った回答を」などと重ねて求めると、最後には「もう二度と来ないでください。あなたは」「うるさい」と声を張り上げた。

 質問の仕方にも議論はあろうが、懇切丁寧に答えるのが閣僚の当然の務めだ。

 会見後、今村氏は「感情的になってしまった」として陳謝。菅義偉官房長官も今村氏から報告を受け、「適切に対応してほしい」と求めたことを明らかにした。

 自分の考えと相いれないからといって、「うるさい」とはねつけるのは、閣僚としての振る舞いではあるまい。