5年前の前回推計に比べれば減少ペースは若干、修正された。だが、少子高齢化に歯止めがかからない現状は改善されていない。

 国立社会保障・人口問題研究所が、2065年の人口が15年比で3割減の8808万人になるとする「日本の将来推計人口」を公表した。

 女性1人が生涯に産む子どもの数「合計特殊出生率」は1・35から1・44に引き上げられ、1億人を割る時期も5年遅くなった。

 人口減少の流れを食い止める努力はこれからも必要だ。しかし、特効薬がないだけに、成果を得るには長い時間がかかる。

 緩やかな人口減ならば、環境への負荷や食料自給などへの影響も少なくなるとの指摘もある。

 大切なのは、人口減の現実を正面から受けとめた上で、少子化対策や働きやすい環境づくりに政府が腰を据えて取り組むことだ。

 まず、力を入れなければならないのは少子化対策である。

 昨年生まれた赤ちゃんの数は、1899年の統計開始以来初めて、100万人を割り込んだ。

 一方で、晩婚化の傾向は進み、50歳までに一度も結婚しない人が男性で4人に1人、女性で7人に1人となっている。

 これでは、人口減を食い止めることができるはずもない。

 結婚や出産・育児がしやすい社会に変えていかなければ、根本的な解決にはつながらない。

 働く女性が増える中、仕事と子育てを両立し、男性も育児参加できる環境づくりが急がれる。保育所に入れない待機児童解消を急ぐのは当然だ。

 こうした施策の着実な展開が、少子化対策とともに、人口減社会での労働力確保にもつながる。

 推計は、働き手である生産年齢人口(15~64歳)が現在より4割も減るとも予測している。

 政府は働き方改革などで、女性に加えて、高齢者らの雇用創出増も見込んでいる。

 高齢者が働きやすい職場づくりも必要になってくる。ただ、基本は働く意欲を十分に持つ人を対象にすることだ。年齢、男女を問わず、働けない人を無理に働かせる社会であってはならない。

 今回の推計では、外国人が毎年50万人ずつ移入した場合、65年の人口は1億2千万人弱になるとも予想している。

 政府は移民政策は取っていないが、多様な人材を社会にどう受け入れていくか、本格的に議論を始めるべき時期に来ている。