シリアをミサイル攻撃した米国と、アサド政権を支援するロシアの対立が激しくなっている。

 米国のティラーソン国務長官とロシアのラブロフ外相の会談は、ミサイル攻撃の正当性などを巡り批判の応酬となった。

 国連安全保障理事会は、シリアに化学兵器の調査を迫る決議案を否決した。決議案は米英仏3カ国が主導してつくったが、ロシアが拒否権を行使した。

 シリアの内戦は大国や周辺国が介入し、泥沼化してきた。米ロの対立が共通の敵である過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を阻む恐れもある。

 米ロはそれぞれの利害や思惑を超え、混乱収拾に向けて協調すべきだ。

 対立点は主に二つある。一つは、シリア北西部で使われたサリンとみられる化学兵器を誰が使用したか―である。

 米国はアサド政権軍の仕業と断定する。これに対してロシアはアサド政権の関与を示す証拠はないと反発する。

 はっきりさせるには国際機関が中立の立場で調査するしかない。

 国連安保理決議案の採決で、ロシアがアサド政権への配慮を優先して拒否権を行使したとすれば認めがたい。

 ただ、ロシアは調査そのものには反対していない。「客観的な調査をする前から(アサド政権が化学兵器を使用したと)犯人を決め付けている」と決議案の内容を批判した。

 そうであれば、ロシアは公正な調査を実現できるよう協力すべきである。

 もう一つは米国のミサイル攻撃の正当性だ。

 国連憲章では自衛権の行使を除き、国連安保理決議がない軍事攻撃を認めていない。米国の攻撃はこれに反している疑いが強い。ロシアが「主権国家への侵略だ」と反発するのもそのためだ。

 先の先進7カ国(G7)外相会合は、米国のシリア攻撃に理解を示す共同声明を発表した。だがドイツ、イタリアは強硬策には慎重姿勢を見せた。

 単独攻撃は国際法上、疑義があると米国は肝に銘じるべきだ。

 7年目に入ったシリア内戦はロシア、イランがアサド政権を支え、米国やサウジアラビアが反体制派を支援してきた。各国の利害が複雑に絡み、和平交渉は頓挫を繰り返してきた。

 米ロの対立は内戦の終結をさらに遠のかせることになる。