政府の衆院選挙区画定審議会が小選挙区の区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。青森など6県での定数減を柱に、北海道など19の都道府県で区割りが変わる。

 道内の一部に不安の声もあるとはいえ、最高裁が「違憲状態」とみなした1票の格差を2倍未満に収める措置だ。いわば緊急避難として、まずは実現が急がれる。

 ただ改定後も、小選挙区間の最大格差は2020年推計で1・999倍に及ぶ。人口移動が続けば遠からず2倍を超えるだろう。

 弥縫(びほう)策をいくら重ねても限界がある。議席配分の適正化を進めるとともに、選挙制度自体の改革を視野に入れた議論を求めたい。

 道内は道1区(札幌市中央区、南区、西区)のうち西区の一部を後志管内などと同じ道4区に、道2区(同市北区、東区)のうち北区の一部を道1区に編入する。

 道10区(空知、留萌管内)の上川管内幌加内町と宗谷管内幌延町は振興局の枠組み通り、それぞれ道6区(上川管内)、道12区(オホーツク、宗谷管内)に移す。

 札幌の区が分割されるのは初めてだ。これまで縁の薄い選挙区への編入で「地域の声が反映されなくなる」と心配する声もある。

 日常の生活圏と選挙区との食い違いが政治への関心の低下を招いてはならない。複雑な区割りに有権者が戸惑う恐れもある。くれぐれも周知を徹底してほしい。

 忘れてはならないのは、今回の選挙制度改革に向けた議論で、都道府県の人口比を議席数に反映させるアダムズ方式の導入が「20年以降」に先送りされたことだ。

 削減対象の議席を多く抱える自民党の党利党略が優先された。

 だがアダムズ方式の導入は、議長が諮問した有識者委員会の答申に基づき与野党が合意している。自民党内になお不満もあるようだが、さらなる延期は認めがたい。

 その先には、小選挙区比例代表並立制という現行制度が、民意の反映に最善かという論点が残る。

 現在の小選挙区は、政権交代の実現を目的として導入され、旧民主党政権の誕生をもたらした。しかし野党に投じられる票の多くが「死に票」となり、得票率と議席占有率が乖離(かいり)する事態を招いた。

 14年衆院選の小選挙区で自民党は、50%に満たない得票率で議席の75・3%を得た。第1党に過剰な議席を与える弊害が否めない。

 有識者委員会答申は選挙制度を「不断に見直していくべきもの」と位置づけた。民意を偏りなくくみ上げる制度を模索するべきだ。