衆院法務委員会はきのう、「共謀罪」の構成要件を変更してテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案を自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決した。

 与党が、野党の反対を押し切り採決を強行した。23日に衆院を通過させる方針だ。

 共謀罪は既遂犯罪の処罰を原則とする現行刑法体系の大転換であり、自由な言論や市民生活を脅かす危険性が拭えない。

 にもかかわらず、特定秘密保護法、安全保障法制に続きまたも数の力で押し切ろうとする安倍政権の手法は、1強のおごりがますます顕著だと言わざるを得ない。

 怒号に包まれる委員会室で採決が行われる異様な光景が、今回も繰り返された。政権の「問答無用」の姿勢を象徴していよう。

 与党は、審議時間がめどとしていた30時間を超え、議論は尽くされたとしている。

 だが、30時間は取り調べの可視化などを導入した2015年の刑事訴訟法改正案に比べて大幅に短い。審議を通じ疑問は深まり、採決の環境にはほど遠かった。

 「組織的犯罪集団」や「準備行為」の定義は、政府がいくら説明を重ねても結局は捜査当局の運用次第という印象を免れない。

 そのような状況で「一般市民は捜査の対象外」と言われても、額面通りに受け止めることができないのは当然だろう。

 金田勝年法相からは「一般人は刑事告発されても捜査対象にならない」と、捜査実務からして明らかにおかしな見解も飛び出した。

 国民の不安に正面から答えず、ひたすら「テロ対策」を錦の御旗にして理解を求める。だが、テロ対策に共謀罪が本当に必要なのかどうかという疑問にも、国民の納得のいく答弁はなかった。

 放火や強盗などの共謀罪が、実行段階に近くより危険性の高い予備罪より量刑が重いなど、法案の矛盾点も次々に明らかになった。

 そうした中、16日の参考人質疑で注目を集めた発言があった。

 「犯罪をしようとしている人の内心を立証しないといけないので、さまざまな捜査手法が導入されると予想される。捜査手法に法的規制がなされていないのに法整備は行うべきではない」

 こう述べたのは日本維新の会が推薦した成城大の指宿信(いぶすきまこと)教授である。共謀罪の導入により、捜査当局の監視の目が強まることに警鐘を鳴らした発言と受け止めたい。

 それでも賛成に回った維新の対応も理解に苦しむ。