若い世代の自殺が深刻な状況になっている。

 2017年版自殺対策白書によると、全体の自殺者数が減少傾向にあるにもかかわらず、若年層の死亡原因は自殺が最多となった。

 先進7カ国のうち、若年層の死亡原因で自殺がトップなのは日本だけである。

 厚生労働省は自殺対策の指針となる、新たな「自殺総合対策大綱」を今夏にも策定する。

 若年層が自殺に追い込まれる原因を詳細に分析し、徹底した対策を講じていく必要がある。

 16年の自殺者数は2万1897人と7年連続して減少し、22年ぶりに2万2千人を下回った。

 06年の自殺対策基本法制定を経て、国や自治体、各団体が進めてきた各種対策の成果と言えよう。

 だが、人口10万人当たりの自殺者数を表す自殺死亡率は、世界約90の国と地域のうち、上から6番目の高さだ。

 さらに、15年の5歳ごとの年齢層別死因を見ると、15歳から39歳までの5階級で、最も多かったのが「自殺」だった。

 2位の「がん」や「不慮の事故」と比べ1・5~3倍の多さで、他国にない傾向を示している。

 白書が指摘するとおり、まさに「深刻な状況」だ。

 こうした現状を受け、大綱の見直しを進める厚労省の有識者検討会は、報告書で三つの対策を打ち出した。

 10代の自殺防止対策では、いじめに対応するため学校での「SOSの出し方教育」を行い、相談しやすい環境をつくる。

 同時に若者の自殺の芽を未然に摘もうと、小中学校のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを含めた、地域としての対応の必要性に言及している。

 女性については産後うつによる自殺が目立つことから、育児の悩みを抱える母親への相談、支援態勢の強化を盛り込んだ。

 加えて、過労死自殺を防ぐため、長時間労働の是正、パワハラ防止、メンタルヘルス対策の促進も挙げている。

 検討会は、このような対策の展開により、自殺死亡率を15年の18・5人から、26年までに13・0人以下にするよう求めている。

 しかし、行政の取り組みに頼るだけでは、目標達成は難しい。

 大切なのは、追い詰められている人たちが発するサインを見逃さないことだ。そのためにも家庭や地域で気を配りながら、社会全体に支援の輪を広げたい。