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2016年06月29日 水曜日(大安)

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善悪の境目

「善をなすには努力を要するが、悪を抑制するにはさらに一層の努力が必要だ」。確かロシアの作家トルストイの言葉だったと思う。悪の誘惑は強く、いったん一線を越えると元には戻りにくい。言い得て妙な表現に映る▼上映中の映画「日本で一番悪い奴(やつ)ら」を見て、この言葉を思い出した。主人公の刑事は裏社会に捜査協力者をつくり、実績を上げる。上司の了解を得て違法捜査に足を突っ込む。やがて捜査資金を賄うため自ら薬物を売る羽目に。フィクションだが、原作は覚せい剤取締法違反などで実刑となり、刑期を終えた稲葉圭昭(よしあき)元道警警部の手記である▼映画が頭から離れないのは先週、道警の警部補が薬物捜査に関連して証拠隠滅などの容疑で逮捕されたからだ。内部情報を漏らすなど協力者とずぶずぶの関係だったという▼その筋に通じている人と交わり、情報を取るのは捜査の常道だとされる。悪の手に落ちるのは本人の法意識の問題もさることながら、背景にノルマ主義があると聞く▼最近の企業の不祥事を見ても、業績を上げるためならば、部下の危なっかしい行動も意に介さない姿が浮かぶ。失敗したらトカゲのしっぽ切りでしのごうとする▼映画でも違法捜査に関わった上司は罪に問われない。声援を送ってくれたはずの人が、いつの間にか近くから離れていく。悪に染まって恐ろしいのは、こちらの方なのかもしれない。2016・6・28

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