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2016年07月26日 火曜日(仏滅)

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茄子

数年前の夏、東京の下町で路地に迷い込んだことがある。湿度の高い暖気が体にまとわりつき、汗が噴き出した▼見ると、狭い道路を挟んだ各家屋にはエアコンの室外機。それが吐き出す排気熱が路上にこもっていたというわけだ。ヒートアイランド現象を実感した▼政府の調査によると、エアコンの普及率は9割以上。同じように、熱を発する車も8千万台を超えた。しかも地面は熱を吸収しないアスファルト。「日本の夏」が年々暑さを増しているのも、うなずける▼暑さで食欲が落ちた時、重宝なのはナスか。浅漬け、煮びたし、しぎ焼きと調理法は多彩だ。「鬼平犯科帳」の作家池波正太郎さんは随筆「味の歳時記」7月の項で、江戸時代の絵師がナス一品を膳に載せ、酒を飲みながら「天下にこれほどのぜいたくはない」と漏らしたという話を紹介している▼そして続ける。良い具合に漬かった「あざやかな紺色の肌に溶き芥子(からし)をちょいと乗せ、小ぶりのやつを丸ごと、ぷっつりと噛(か)み切るときの旨(うま)さを何と形容したらよいだろう」。食通で知られた池波さんだ。読んでいるだけで、よだれが出そうになる▼ナスに含まれる色素ナスニンは、ポリフェノールの一種で血栓ができるのを防いだり、コレステロールを下げたりする。夏バテ予防にはもってこいだ。「茄子(なす)と年寄りの意見には無駄がない」。つい、ありがたいことわざが口を突く。2016・7・25

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