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2016年08月25日 木曜日(大安)

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鋸商ひ

経済小説の走りと言われる井原西鶴の「日本永代蔵」に、こんな下りがある。「さす手引く手に油断なく、鋸(のこぎり)商ひにして」。鋸商ひとは聞き慣れないが、江戸時代の近江商人の商法を指す▼近江や京都の呉服や麻布を地方で売り歩き、今度はそこで仕入れた紅花や生糸などを持ち帰り、都市で売りさばく。行く時も戻る時も利を得ることから鋸引きに例えた▼物流の一方通行が普通だった当時にすれば、それぞれの地域の需要と供給を調べて、商品を融通し合う巧みな商売といえる。今の企業からみると、当たり前の発想ではあるが▼北電泊原発が再稼働しなくても、当分は道内の電力に十分な余裕があるとの記事が本紙に載っていた。新たな火力発電所が続々と誕生するためという。供給が需要を超える不釣り合いが続けば、近江商人ならずとも放っておかないはずだ▼もちろん、発電にかかる費用や地球温暖化への影響を考えると、火力だけに頼るわけにはいかないが、安全・安心があってこその電気の恩恵である。原発は耐震性や津波対策、事故時の避難路も気になる。そもそも「核のごみ捨て場」すら決まっていない…。疑問は尽きない▼かの近江商人なら再稼働をどうみるだろう。商売の信条である「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の声がそろってない。需要と供給の関係を考えるまでもなく首をひねるかもしれない。2016・8・25

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