組織犯罪処罰法改正案が15日にも成立する見通しになったことを受け、改正案の問題点を指摘してきた道内の刑法学者や憲法学者、弁護士からはあらためて厳しい批判が上がる。処罰対象や行為のあいまいさ、人権侵害の恐れ―。専門的見地から「懸念は何も払拭(ふっしょく)されていない」と憤る。

 「改正案は現行法で未遂が処罰されない犯罪にまで、共謀罪を適用している。こんなつじつまの合わない法体系を、学生に理論的に説明することなどできない」。前原宏一札幌大教授(58)=刑法=は声を荒らげた。

 改正案で新設する「テロ等準備罪」は、刑法などで定められた277の罪のどれかを2人以上で計画し、誰か1人でも準備行為を行えば、合意した全員が処罰の対象となる。

 前原教授は「犯罪を途中で思いとどまった人も処罰できる。犯罪者として扱われる人を、どんどん増やすことになる」と語気を強める。

 政府は、処罰には「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」の準備行為が必要とし、「人の内心が処罰される恐れはない」などと答弁していた。

 前原教授は言う。「刑法は実行行為を処罰するのが原則で、重大犯罪に限って準備行為も処罰される。準備行為の中身も、条文を読めば誰でも分かるよう明確にしていた。だが、改正案の実行準備行為は『その他』という文言が入り、何をしたら犯罪になるのか極めて不明確だ。国会審議で、そういう不安や懸念は何も解決しなかった」